カラ・ヴィオリーナ
8月。本格的な夏休みの時期です。
今週末は、7月に休暇を取った人達と8月に休暇を取る人達の入れ替えで、高速が大変混雑する時です。
何キロにもわたる渋滞に突入したくなければ、今週末はじっと家に居るに限ります。
という事で週末を避けて、私達は昨日の金曜日にイタリアの中では10本の指に数えられ、トスカーナの中では一番美しいと言われているビーチへ行って来ました。
名前は「カラ・ヴィオリーナ」。バイオリンの小さな入り江、という素敵な名前のビーチです。
このビーチはそれはきめの細かい、白い砂浜が広がり、この美しい白い砂の上を裸足で歩くと、バイオリンのような音がする、という所からこの名前がつけられたようです。
実はこの場所、私達の住んでいる所からかなり遠く、まったく耳にしなかった場所なのですが、夏休みの時期という事で、ある雑誌でイタリア中の美しいビーチの紹介があったのです。
その中で知りました。
グロセットにあり、これも最も美しいビーチの1つに上げられているカステリオン・デッラ・ぺスカイアの方向へ進んでいく、と雑誌には書いてありましたので、海が大好きな私達は、2度行ったことのあるカステリオン・デッラ・ぺスカイアへとスーパーストラーダを飛ばしました。
出口カステリオン・デッラ・ぺスカイアで出て、さあ、あのビーチは何処にあるのかしら、とサインを見損なわないように二人でしっかりと見ていったのですが、何処まで行ってもなんのサインも見えません。道はあまり大きくなく、見損なう筈はないのだけど、と思いながらも、とうとう別のリゾート地に着いてしまい、結局そこで訊く事に。
リゾート地の人が言うには、今来た道を1kmほど戻った所に曲がり角があるからそこを曲がるのだとか。
言われた通り、来た道を1km以上も戻りましたが、やはりなんの目印も見えません。
おかしいなあー、と二人で言いながら今度は道端でそこの採りたての野菜や果物を売っている小屋で訊いてみました。
そうすると、100m程先に見える細い道を指差して、あそこを左に曲がるんですよ、と教えてくれたのです。
その曲がり角まで行って見ましたが、やはりなんのサインもありません。
ええ~、こんなに美しいビーチで有名な場所のサインが立ってないんだー、これじゃあ見つかるはずがない、とちょっと驚いてしまいました。
それでも言われた通り、その道をたどっていくと、見えてきましたパーキングエリアが。
舗装もなにもされていない、簡単な柵があるだけのパーキングエリアです。
そこで駐車料金、1日 1ユーロ50セントを払い、陰のまったくない大きな広場に車を止めました。
駐車場の人が言うには、ここで車を置いて、海までは約1.5kmの山道を歩くのだそうです。
1.5kmはこの暑さのなかではちょっと辛いものがありますが、でもこれだからこそ、あまり旅行者も訪れず、美しいビーチを保っているのだろうと勝手に自分で解釈です。
さあ、車からタオルなどの入ったバッグを取り出し、パラソルを担いで、山道を歩き始めました。
勿論、道は舗装なんてされていません。自然の道です。
その昔は山の中を人が一人通れるほどの細い道が通っていたのでしょうが、今はかなりの人がビーチを求めて歩きますので、道幅は広くなっています。嬉しい事に、山の中を通っている道ですので、木陰が太陽をさえぎってくれ、歩くには楽でした。
でも、1.5kmはかなりあります。
道は徐々に登りになり、はあ~疲れたー、と思ったところが頂上で、この先、海まで700mとなっています。
今度は下りなのでかなり楽です。
途中で、海まで400m、のサインが見えて来た所で、かなり細い山道に変わります。
木の根に足をとられないように気をつけて歩いていると、急に雑木林のような開けた場所へ出ました。
そして、先に広がる木陰の間にあのブルーの海が見えたのです!
白い砂浜も見えます。遠くには豪華なヨットも数隻浮かんでいます。
そして水平線の上に見えるのはエルバ島。
うわー、やっぱり綺麗ねー、と感激です。
丁度私達は海の上に突き出した絶壁の上に出るような格好で、そこには簡易トイレが1つあり(使用料80セント)、キャンパーのようなバーも一件出ていました。
そこではサンドイッチや飲み物が買えます。
海まで、そこから更に急な坂を下りますが、でも海はもう目の前です。思ったよりも小さな入り江ですが、砂は本当に白くて、きめが細かい。
そして青い海!
はぁ~~~、1.5kmを歩いてくる甲斐はあります。
こんなに綺麗な海は、サルデイニア島以来です。
水がそれは綺麗で、太陽の光で海の底が透き通って見えます。プールのよう。そして海はそれは静かに波打っているのです。
はやる気持ちを押さえながら、パラソルをたてて、タオルも並べたら、早速海に飛び込みました。
うわーっ、気持ちがいいーーーー!!!
平泳ぎする私の手が水の中でもはっきりと見えます。
立つと足先まで見えるほど透き通っているのです。
それにここは遠浅で、海に入って直ぐに腰くらいまで水が来ると、そこからは本当に少しづつ深くなっており、水泳初心者や子供たちには最高の海です。
泳いでいると、太陽の光が目の前の海にきらめき、その光を受けた水がゆったりと波打っていて、なんだか、私はゼリー菓子の中を泳いでいるような錯覚に何度も陥りました。
それはそれは気持ちが良くて、ずーっと、ずーっと海と戯れていたい気持ちになります。
こんな場所があるのなら、パシフィックなんて行かなくてもいいなー、なんて・・・。
海から上がるのがもったいなくて、この日は良く泳ぎました。
そして、良く泳いで疲れた体には帰りの山道がちょっと大変でしたが、普段あまり運動しない私達には丁度いいエキササイズだ、と言いあいながら駐車場へ向かいました。
トスカーナで一番美しいビーチを堪能した日でした。
ps, 8月20日まで私達も夏休みです。