Kiyomi D.

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カッシーネ公園の朝市

firenze mercato

春のような気候が続いているトスカーナです。
曇りの日でも気温が高く、これが11月末の気候かとびっくりさせられます。
今日もそれはいいお天気で、日中気温17度。

数日前、この日もそれは素晴らしいお天気でしたが、イタリア人友達と一緒にフィレンツエへ行ってきました。
彼女達はトスカーナに生まれ、そして育った人達ですが、フィレンツェへ行ったことがあるのはほんの数えるほど。
ウフィツイ美術館にも行ったことがないとのことで、フィレンツェにはもう何十回行ったか分からないほどの私達が、それではと彼女達を案内してきました。

いいお天気でしたが、朝の郊外は雲海の中に漂い、まるであそこに湖があるみたい、と友達が言っていたように、ミステリアスと神秘的な雰囲気をかもし出していました。
真っ白な雲海の真中にボーッと、小高い丘の上に立っている屋敷と糸杉が浮かび上がっています。
私達は郊外のくねくねした細い道を走りながら、視界数メートルの雲海の中に入ったり、又ひょっこりと太陽の中に出たりしながら、殆どフィレンツエまでその絵葉書のような風景を楽しむ事が出来ました。
木々、とくに栗の木の紅葉が素晴らしく、それに白い霧が絡まって、こんな素晴らしい朝は本当に珍しい。

さて、フィレンツェの町の中に入る前に、左手にアルノ川に沿って出来た3km以上の大きな公園が見えてきます。
これがカッシーネ公園です。
ここはその昔メデイチ家などのフィレンツェ公の所領だった所ですが、現在は大きな森の中に、気持ちがホッとするような並木の続く散歩道があり、いくつかの銅像が点在し、更にその奥には競馬場もあるのです。この公園で、毎火曜日、朝市が立つのですが、一緒に行った友達が是非この朝市にも行ってみたいということで、フィレンツェ市内観光の前に行ってみることにしました。

先ず野菜、果物、チーズ、ハム、肉、魚などの食料品の店が軒を連ねており、何処を覗いても、それは新鮮な品物で、この近くに住んでいたなら是非買って帰りたい気持ちで一杯になりました。
野菜や果物の種類は豊富で、手作りの野菜オイル漬けの瓶達がカラフルだったり、見たこともないようなチーズが並んでいたり・・・。
お店は道を挟んで両側に立っているのですが、私達は左によろよろ、右によろよろと、急ぐ旅でもない為、ゆっくりと眺めていきました。
残念だったのは白菜を見つけた時です。
だって、私の住んでいる郊外の町では白菜を見るのは本当にまれなのです。
見ると必ず買うのですが、この日はこれから後、市内観光のあることゆえ、ぐっと我慢をして更に奥に進んでいきました。

食料品のお店が終わると、そこからは衣料品や家庭用品などのお店が続きます。
さあ、友達が目の色を変え始めました。
買うぞー、と意気込んでいるのが分かります。
朝市で売っている品物は、メーカー物はありませんが、でも時々いい掘り出し物が見つかったりして、なかなか捨てたものではないのです。

またまた、左によろよろ、右によろよろと歩きながらお店を覗いていきましたが、それが歩いても歩いてもお店が続くのです。
ずーっと道の向うの方まで目をやっても、お店の切れ目が見えません。ま~、何処まで続いているのかしら・・・?

私は途中でもう歩けなくなり、店の横にある散歩道の方へ行き、1人ベンチで一休みすることにしました。
この散歩道には大きな木が立ち並び、直ぐ横にはアルノ川がゆったりと流れていて、お店のある道とは対照的に静かに太陽の中に照らされていました。
人通りも少なく、ベンチでボーっとするにはもってこいです。

本当にボーっとしていたら、ずーっと先まで歩いていった彼女達とジョンが戻って来ました。

「最後のお店まで行ったの?」と訊くと、

「とんでもない!」とのこと。

一体何百軒お店が並んでいるのやら、想像もつきません。

この日の私の収穫は、帽子、ダウンコート2着、オレンジのマフラー1本。
ダウンコートの1つは中がベージュで、外が赤のリバーシブルで、ボタンが1つとれてるよ、と言ったら、5ユーロに負けてくれました。

もう1つのダウンコートはベージュの長いコートですが、私はあまりベージュは好きではなかったのですが、ジョンが「着てみたら?」と言ってくれたので試着していると、着飾ったおばちゃん(奥さんと言うより愛嬌があるから、おばちゃん)が寄ってきて、

「ねー、それ買うの?買わなかったら私が買うから教えてね」

とじーっと私の側に立っています。
私はどうでも良かったのですが、友達が絶対買うべきだと勧めてくれたので、とうとう買う事に。
おばちゃんには、

「ごめんね、先に見つけたものだから・・・」と謝ると、

「いいよいいよ、貴方に似合っているからそれでいいよ」

と言ってくれ、何とも和やかなお買い物になりました。
イタリアでは他人であっても直ぐ話が弾みますので、明るくて楽しい雰囲気が直ぐに花開きます。

公園までは歩くとかなりありますから、S・M・ノヴェッラ駅から、バス9番、12番、16番で、ヴィットリオ・ヴェネト広場までいくといいでしょう。
帰りは、バス1番、9番、13番。

殆ど買い物で午前中がつぶれ、午後からは美術館巡り、市内観光をし、暗くなってからフィレンツェを後にしました。
アルノ川から遠くの丘にあるミケランジェロ広場に目を向けると、ダヴィデ像がライトアップされて浮かび上がっていました。
もう時期クリスマスライトで綺麗に着飾るフィレンツエの町。
よく歩く町ですが、でも素敵な町です。

firenze mercato

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