今日はメニューではなく、トスカーナの食材についてお話しましょう。
トスカーナというと豆料理と思われている方が多い様ですが、それは特に冬に食べるスープのようなもので(食材の少なくなった冬によく食べていたようです)、ミネストローネとも呼ばれています。豆は「畑の肉」とも呼ばれるようにミネラルたっぷり、そして肉にあるコレストロールがまったくないので、イタリアだけではなく、ヨーロッパ各地、インド、アメリカなどでも沢山食べられています。
又、トスカーナではイノシシの肉も有名です。レストランに出てくるのはイノシシ狩が始まる秋ですが、こちらでは長い時間かけて黒オリーブと共にゆっくり煮てゆきます。テーブルに出てきたときのお汁は脂っこくて一瞬びっくりしてしまいますが、お肉は柔らかく、まったく脂っこくはありません。イノシシのサラミやソーセージもお店には沢山出ています。
さて、サラミやプロシュート(生ハム)ですが、日本からいらっしゃった方たちは、「日本のものと比べるとこちらのものは脂っこくなく、臭みもない」と驚かれます。そして生ハムの安いことにも驚かれて、さっそく買って帰られます。真空パックして売っていますので、おもち帰りにはまったく差し障りがありません。それから秋といえば、やはりポルチ−二の茸でしょうか。日本には乾燥した物しか売っていないようですが、これからこちらでは生のものが出回ります。大きさはかなりありまして、軸の部分でも直径5cmはあります。傘は約10cmもあるものがあります。イノシシの肉もポルチ−ニもいつでも食べられるレストランはありますが、やはり秋になって食べてみたいものの一つですね。そうそう、臭みの有る無いでもう一つ話題になるのが、ペッコリチーズ、ヤギのチーズです。これも日本では臭くて嫌いだった方も、こちらではおいしいと食べていらっしゃいました。作り方が違うのでしょうか。きっとヤギのミルクから違うのでしょうし、気候にもよるのでしょう。
なんだか話が先に冬から秋になってしまいましたが、夏には沢山の野菜、果物が出回り、朝市に行っても見るだけで嬉しくなってしまいます。桃、スモモ、洋ナシ、スイカ、大きなプラム、メロン、イチジク、葡萄、等など。太陽が一杯ですから、どの果物も甘味があっておいしい。
野菜ではいろんなサラダ、キューリ、なすび、トマト、ズッキーニ、ズッキーニの花、セロリ、まだ作り方が分からない青物、等など。
後、もう一つ挙げておかなければいけないのが、海の幸です。
私の住んでいる所は海から約30分のところです。もちろん海際には沢山レストランがありますが、このあたりにもおいしい海の幸を食べさせてくれるレストランが数あります。こちらで一番食べられている魚はいろいろありますが、その中でも、イワシ、貝類、海老、鯛などです。鯛はこちらでも少し高い魚で、普通はグリルにして食べます。イタリア料理は、フレンチと違ってクリームやバターなどは使わず、あの有名なオリーブオイルと塩を使ったごくシンプルな料理方法です。
もう何度か書きましたが、私達の所から近い海際に有る魚介類で有名なレストラン『ピネッタ』は、自分達の舟で毎日漁に出て、自分達のレストラン用に魚を取ってきますので、そこで出される魚の新鮮さは保証付です。パスタも手作りで、これが又いろんな魚や海老類と一緒になって、おいしい! シエナの料理学校で勉強した日本人が、修行の為にこのレストランにやってきます。ですから、大体いつも日本人一人がキッチンに入っています。今いらっしゃるのは米田さんという若い方で、キッチンで仕事をされているときの姿勢を見ると、本当に一生懸命やってらっしゃるなあ、と感心させられます。
ワインのことは又次回に。