ハッピーバースデー、清美
4月11日は復活際。
この前後にはイタリア全土が移動するといわれるほど急に旅行者が多くなります。
イタリア人はキャンパーが大好きで、この時期、郊外の道にはキャンパーのオンパレードをよく見かけます。
イタリア人だけではなく、学校が春休みになった北ヨーロッパからも沢山の旅行者がやって来るときで、道にはいろんな外国車ナンバーが見られるようになります。
良い気候ですから、北ヨーロッパの人達には初夏のように思われるようで、イタリア人はまだ用心してジャケットにマフラーまで巻いている人がいるというのに、ドイツ人やオランダ人、スイス人たちは半そでのテイーシャツひとつで歩き回っています。風邪をひかなきゃいいけど、とこちらが心配してしまいます。
さて、今週の水曜日、4月7日は私の誕生日だったのですが、「サプライズ旅行を計画しているからその心つもりをしておいて」、なんて数日前から主人ジョン・クロードが嬉しい事を言ってくれていました。
そしてその日の朝。起きてみるとジョン・クロードがすでに私のPCの前に座っています。
「何してるの・・・?」
と聞くと、どうも私のメールをダウンロードしてくれたみたいなのですが、そんなこと普段はしません。
へー、今日は私の誕生日だから親切にしてくれているのかな?なんて思いながらメールを見始めたのですが、そこに数年間コンタクトのなかった友達から「お誕生日おめでとう!」のメールが届いているのを発見しました。
それ以外にもそんな感じのメールが2・3件入っています。
オーストラリアから、アメリカから・・・。
ビックリしました。
先ず、どうして彼女達が私の誕生日を覚えていてくれたのか、これが分かりません。
ジョン・クロードに
「ねえねえ、彼女からメールが来ているよ!どうして彼女は私の誕生日を知っているのかしらねー?」
「・・・・」
何も答えない彼。
そうやっている間に、どんどん「お誕生日おめでとう!」のメールが入ってきます。
それもいろんな国の友達から。
うむむ~~???と思っている所で、あっと気がつきました。
ジョン・クロードだ。
「あなたが皆に、“お誕生日おめでとう”のメッセージを私に送ってくれって頼んだの?」
と訊くと、始めて彼はニヤッ。
はは~ん、それで朝一番に友達からちゃんとメールが届いているかどうかチェックしていたのねと、やっと納得。
「お礼の返事を書かないと」
「いやもう少し待ったほうがいいよ。もっと届くはずだから」
「え~~~、いったい何人にメールしたの・・・?」
結局、私は8カ国から沢山のメッセージを受け取りました。
イタリアの友達が一番多かったのですが、長い間コンタクトのなかったアメリカの友達、数年前に会ったのが最後のオーストラリアの友達、ニュージーランドに移住したスイス人の友達、インドで仲良くなったインド人の友達、サン・サルバドールに単身赴任している大家さんちのご主人、そしてスイスの懐かしい友達からも数件。
日本からもカードをいただきましたが、これは彼の仕業ではありません。
それにしても憎いことをしてくれるものです。
彼が言うにはトイレに入っているときに急にこのアイデアがひらめいたそうで、世界各国から私に「おめでとう!」のメッセージを届けたいと思い、あちらこちらに散らばっている友達にメールをしたのだそうです。
これにはビックリさせられました。
本当のサプライズプレゼントです。
サンキュー、メルシー、ダンケ、グラシアス、グラツィエ、ありがとう!
さて、サプライズ旅行はどうなったかと言いいますと。
ちょっと長い旅になるよ、と彼が言うものですから、そのつもりで用意をして車に乗り込むと、到着したのはなんと車で30分ほどの隣町。
3000年の歴史のある町ヴォルテッラでした。
「ここ~~?」
とあまりに近いのでちょっとがっかりした私。
でもその町でのプレゼントはバスタブだったのです。
私達が今借りている家にはバスタブがありません。
以前はあったそうなのですが、イタリア人はバスタブに湯を張って浸かる事はしませんので、バスタブを取り外してシャワーにしてしまったそうなのです。
私は日本人であるせいか、時々バスタブに浸かりたくなります。「あ~ぁ、こういうときにバスタブに浸かると疲れが取れるのよねー」
とたまに言います。
勿論言ってもないものはないので、どうしようもありません。
でもつい言ってしまうのです。
それを聞いていた彼が可愛そうに思ったのでしょうか、バスタブのプレゼントをしてくれたのです。
バスタブのプレゼントと言ってもバスタブを買ってくれたのではなく、ジャクジー付きのバスタブのある4星のホテルを1泊予約してくれたのです。
ヴォルテッラの町はよく知っており、この4星のプチホテルのオーナーやレセプションの人達も知っているのですが、勿論私自身が利用したことはありません。
入ってみると出来たばかりのホテルですから何処も真新しく、部屋も広くて気持ちがいい。
バスルームは又何もかも真っ白で清潔感がいっぱい。
そして大きなジャクジー付のバスタブ!
これは最高でした。
何度も使って1年分を堪能しました(ちょっと大げさ)
話が前後しますが、ホテルに入った後、夕食の前にちょっとアペルティヴを飲んで行こうということになり町のバーに入ったのですが、こちらでは午後6時を過ぎるとどのバーでもアペルティヴタイムというのがあり、たった一杯の飲み物にそれは沢山のおつまみが出てきます。
最初の写真を見てください。テーブルの上にダーッと並んでいます。
これが全部ただです。気前がいいではないですか。
さて、誕生日の夜の食事は、これもヴォルテッラにある去年出来たばかりの少し高級感のあるレストランでした。
ここも出来たのは知っていましたがまだ入ったことはなく、なんとなく近寄りがたいものがあったのですが、そこを予約してくれたものですから、味調べにちょうどよかった。
ここのオーナーはクックでソムリエでもあり、レストランの横に作られたカンテイーナには各種の有名ワインがそろっています。食事の味も大変よかったです。
ここはエノテカ・レストランですから、カウンターの横に座って、グラスワインを楽しむだけでも結構。
さて、バスタブ付きのホテルに宿泊した次の日は素晴らしい青空。
ホテルからプレゼントされた花束を手に、なんとなく旅行者の気分でその青空を見上げました。
チェックアウトをするとそれでもすぐに帰宅となり、お昼前には家に到着。
いいお天気でしたので洗濯機を回し、昼食の用意を始めました。 もうこの時点で誕生日の特別な気分というものは吹き飛んでおり、いつもの生活に戻っていました。
それでも1年に1回の特別な日。大いに楽しませていただきました。
いろいろ考えてくれたジョン・クロードに感謝です。