波遊び
今年のトスカーナの夏は最高です。
日中は夏らしく暑くなり、朝夕は涼しい。
理想的です。
昨日は北からかなり強い冷たい風(トラモンターナ)が吹いてきて、ちょっと秋を思い出させるような気持ちになりましたが、今日は又素晴らしいお天気になっています。
今年の夏はぐったりするほど暑くならないのです。
去年の夏が暑すぎたのか、今年はちょうどいい感じ。
大いにエンジョイしなければ。
ということで、この金曜日、私と主人のジョン・クロードはヴォルテーラに住む友達の息子二人を預かって、海に行ってきました。
伯父さん、伯母さんをやってきたわけです。
こちらでは、親戚でない限り大人をおじさん、おばさんと呼ばず、名前で呼びます。
身内の人だけが伯父さん、伯母さんと呼ばれ、私たちはとても親しい間柄という意味で、伯父さん、伯母さんになったわけです。上の子はロレンッオ9歳、下の子はコジモ6歳。
お父さんがイタリア人でお母さんはオランダ人。
子供二人がお父さんと話をするときはイタリア語、お母さんと話をするときはオランダ語に切り替わります。
その切り替えの早いこと。
お父さんとお母さんを同時に目の前にしながら、イタリア語とオランダ語をカチカチ切り替えながら話すのには驚かされます。
話している彼らは言葉を切り替えているということさえ感じないようです。
こんな風に自然に言葉を覚えられる環境にいる彼らがうらやましい限りです。
私なんて大人になってからいろんな言葉を覚えなくてはならなくて、それは大変でした。今でも大変で、苦労します。といいながら、正直あまり苦労はしていないのですが。(笑)
今、アメリカから若い女性が彼らの家にホームステイに来ていて、彼女は英語しか話しません。彼女と子供達が一緒に行動することは多く、そのときは子供達は英語を聞いて、そして話さないといけない状態になりました。
それでも驚くことに上の子は殆どすべて彼女の言う事が分かり、そして答えられるのです。
下の子も言われた事は理解できるようです。
なんと素晴らしい!
6歳と9歳にして3ヶ国語が理解でき、話せるのです。
両親はヴォルテーラにアグリツーリズモを経営して今年で12年ほどになります。
お母さんのインガーはもうイタリア語はうまいもの。
でもイタリア人のお父さんマッシモはオランダ語が分かりません。
ですから子供達がお母さんとオランダ語で話していると、お父さんはまったく理解できないのです。
おもしろい家族です。
そんな彼らと知り合いになったのは、私たちがトスカーナへ来てすぐでした。
彼らのアグリツーリズモに滞在された日本人カップルがあるBBSコーナーでヴォルテーラの町のことを書いているのを私が発見し、「なんだ、ヴォルテーラって隣町じゃない!」ということで、私が彼らのアグリツーリズモに電話をしたのがきっかけでした。
マッシモがグラフィックデザイナーで、ヴォルテーラのポスターなどを作り空港に張り出されていますが、同じようにPCの仕事をしているジョン・クロードと話が合い、インガーもオランダ人気質でそれは気さくなので、すぐに友達になったしだいです。
その当時、5歳と2歳の子供達はとても恥ずかしがり屋で、私たちが訪れると家の中に隠れまくっていたものですが、何度も行くうちに、私たちにも慣れてきて、今回始めて両親なしで私たちと一緒に海に行くことになったのです。
上の子ロレンッオは髪も直毛でお母さんにそっくり、下の子コジモはお父さんにそっくりな縮れ毛で、性格もお父さんそっくり。
さて、金曜日の朝、ある町の駐車場で落ち合うことになりました。
子供達は海に行くのがそれは楽しみで、彼らの車が駐車場に到着すると、早速飛び降りて私達の車に乗りかけたのですが、なんと両親が子供と別れがたくて、「キスしてくれないの~?」なんて子供に催促したりしておかしい。
両親はそこからシエナの町へ買い物に。
私たちは海へ向けて出発しました。
男の子二人ですからよく喧嘩をするのですが、私たちと一緒のこの日は一度も喧嘩なし。
海は少し荒れていましたが、波と遊ぶにはもってこいで、6歳のコジモも怖がることなく、腕に浮き袋をつけて遊びまくっていました。
私は彼らの両親から言われたように、二人に日焼け防止のクリームをつけるのを怠らず、後は二人の好きなように遊ばせていました。
両親と一緒だと、1時間遊んだら30分休憩して・・・、なんて規則があるようですが、伯父さん、伯母さんにはそれは適用しません。
ジョン・クロードも一緒になって彼らと波遊びにいそしんでおりました。
お昼はレストランで魚介類をいっぱい食べて(6歳のコジモでも自分が何を食べたいのかちゃんと分かっていてそれを押し通す。そして食べること、食べること)、昼食のあと1時間は海に入ってはいけないということになっているようですが、伯父さんと伯母さんが一緒のときはそれも適用せず、10分ほど休憩した後、「海で遊んでいい?」と可愛い二人に訊かれて「いいよー」と軽く返事をしてしまう伯母さん。
朝の9時から夕方5時まで海にいました。
帰りは別の海辺の町でアイスクリームを食べ、そして両親の待つ家へ送っていきましたが、楽しい1日でした。
「ヒエー、トマトみたいになったねー」
と大げさに言うマッシモに、
「ああ、ちゃんとそれようのクリーム塗ってあげてるから・・・」
と言いながら、ちょっと遊ばせすぎたかなと心の中で舌を出す私。
彼らの家で軽い夕食を頂き、帰宅する車の中で、
「伯父さん、伯母さんになって、たまーに子供を預かるのがちょうどいいね」
「そうだね、毎日これはちょっときついよね」
と、顔をみあわせて、あっ、はっ、はっ、はっ・・・。
笑いながら話をする夜の車の中は幸せがいっぱいでした。