Kiyomi D.

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白トリフュ

tartufo

150年ぶりの暖かい秋が続いているイタリア。
南イタリアではまだ人々が海を楽しんでいます。
トスカーナも、まったく春のようです。
すでに寒くなっている北ヨーロッパからの旅行者達には、トスカーナの気候は初夏のように感じるようで、半袖で歩いている人たちがたくさんいます。

イタリアのあちらこちらで春の花も咲き出しました。
こうなると異変です。
すっかり姿を消していたアーティショックの野菜を朝市で見たときはビックリしました。

まあ、そんな異変はさておいて、その良いお天気の中、こちらでは今オリーブの実の収穫が始まりました。
家の前の谷にも大家さんちのオリーブの木がたくさんあり、数日前から収穫が始まっています。
ジョン・クロードもいそいそと外へ飛び出していきました。
私も見物がてらに見に行って、ついでにお手伝いをさせてもらいました。

木の根もとの周りに大きなネットを張り巡らし、手でしごきながら実を落としていきます。
小さなプラスチックの熊手のようなものもありますが、やはり手で取るのが一番です。
今年は葡萄が豊作でしたが、オリーブもしかりで、枝にはびっしりと実が連なっています。
枝をゆすれば落ちてくれる実でしたら収穫も簡単ですが、そうではなく、しっかりと指に絡めて採らないといけませんので、1本の木の実を採り終わるのにかなり時間がかかります。
そんな木が谷には何百と植わっているのですから、実の収穫をする人は大変です。

さて、秋というと新鮮なオリーブオイルとともに、やはりポルチーニキノコとトリフュでしょう。
先週末,3000年の歴史のある町ヴォルテッラで白トリフュのお祭りがありました。
お祭りといっても、大きなテントが張り巡らされた中に、トリフュとトスカーナ物産が並べられているだけのものですが、11月1日の月曜日が祝日に当たるため、たくさんの人手がありました。

シンプルな白いテントの中に入った途端に、ぷ~んとトリフュの匂いがしてきました。
通路を挟んだ両側は農家が自分のうちの特産物を食べてもらおうと、テーブルいっぱいに品物を並べています。
絞りたてのオリーブオイル、サラミ、プロシュート、ペコリーノチーズ、蜂蜜、等などが、カラフルに並んでいました。

私は2日前に絞ったばかりというオリーブオイルを味見してみましたが、さすがにおいしい。
そうこうするうちに、ぐっとトリフュの匂いが強くなってきました。
先ず、足が止まったのが、トリフュをチーズに練りこんで販売しているお店の前です。
直径10cmくらいのフレッシュなペッコリーノチーズの中に黒いトリフュが見えます。
味見をしてみると・・、うん、まさにトリフュの味です。チーズとトリフュがいい具合に調和していました。

それからさらに奥へ進んで行きますと、ありました、ありました、採れたままの原型のトリフュが並んでいました。
直径3cmから10cmくらいのものが並んでいます。
いくらするのかひょっと値段表を見て、「・・・うん?」
黒トリフュ、30,00/hkg、白トリフュ、250,00/hkgと書かれています。
訊いて見ると「hkg」と書いて「エット」と読み、100gという意味なのだそうです。
ということは、黒トリフュは100gが30ユーロ(約4千円)、白トリフュは100gがなんと250ユーロ(約3万3千円)!ということは、白トリフュは1kg、2500ユーロ(約33万円)もするんです!
うわー、高い!
こちらでこの値段ですから、海外に輸出されるといくらになるのか・・・・?

手で触るのも怖くて、鼻をトリフュの近くにくっつけて匂ってみました。
ぷわ~~、っとかなり強烈な匂いで、頭の中がトリフュの匂いで一杯になりました。
TVでは赤ちゃんの頭大のトリフュも紹介されていて、中にはなんと1kg、5000ユーロ(約65万円)もするものがあるとか。恐ろしい~。

やはりトリフュの時期だ、食べに行こう、ということで、昨日の土曜日の夜、ヴォルテッラにあるレストランにトリフュの料理を食べに行きました。
行ったレストランは「Del Duca」で、お料理はとてもおいしいことで有名です。
ここのご主人はソムリエでもあり、レストランには有名なワインがずらりと並んでいます。
奥さんがメインクックでキッチンに入っていますが、昨日は大輔さんという日本男性がキッチンで活躍されていてビックリ。

彼は日本で6年ほどお料理をされていたそうで、その後ジェノバで1年、そして今はトスカーナ料理を勉強されている方です。
私はキッチンに入り込み、彼に今日は何がおいしいか訊いて見ました。
「今日のメニュー」になっているものは全部おいしいですよ、ということでしたので、せっかくトリフュを食べに来たのですから、トリフュ三昧のこのメニューをとることにしました。
前菜、プリモ、セコンド、ドルチェが付いて45ユーロ。

前菜はペッコリーノチーズをクリーム状にした中にトリフュが入っており、軽くオーブンで焼いたもの。横にフレッシュなオリーブオイルがかかった小さなトーストと干し肉が添えられていて豪華。
食べるときに、ウエイターがトリフュ入りのクリームの上に更に白トリフュを削って入れてくれます。黙っていると「ガシガシ、ガシガシ」と削り続けるので、こちらが心配になってストップをかけたり(気が小さい)。

プリモが又おいしかったのです。
ここでパスタが出てきたら、きっとセコンドは食べきれないだろうな、と思っていましたら、なんと出てきたのは野菜やジャガイモを煮て円柱のように形作られた上にクレープがかぶせられていて、その上にたっぶりとトリフュ入りのグリーンソースがかかっているものが出て来ました。
見た目はたいしたことはなかったのですが、口に入れてみてビックリ。
野菜とトリフュの味が口いっぱいに広がって、それはおいしかったのです。
スーッと胃の中に入っていき、もう感激しながら全部食べてしまいました。
そういえば、クックの大輔さんもこれがおいしいですよ、とおっしゃっていましたっけ。

セコンドは、小さなステーキにトリフュのソースかけと野菜のグリル添えです。
白トリフュがそのソースの上に又たっぷりとかかっています。
前菜からセコンドまで私は何グラムの白トリフュを食べたのかしら?とつい考えてしまいました。だって100gで3万何千円ですからね。

飲んだワインもとてもおいしくて、最後のコーヒーは席を替えてレストランの入り口に設けられたエノテカで、数年前から友達になってしまった奥さんやご主人、ウエイター達と談笑しながら楽しみました。
イタリアの食事はこれが楽しいのです。
知り合いであろうがなかろうが、レストランのスタッフとはすぐに話が弾み、話題がいろんな所に飛んで行きます。
しゃべって、笑って、飲んで食べる食事は消化にもいいようです。
食後酒のグラッパもサービスされて、トリフュの夜はゆっくりと過ぎていきました。

ああ、秋です!

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次の土曜日に私は荷物を引っさげて、従兄弟を案内するためローマとパリへ出発します。
パリには19日までいて、その後、そのまま従兄弟夫婦と一緒に日本へ行ってきます。
3週間の滞在の後、12月11日にパリに到着。留守番をしていたジョン・クロードと合流して、フランス周りとなります。
帰宅は12月20日頃でしょう。
トスカーナ日記はその間お休みとなります。
12月末には又楽しい日記をお送りする事ができると思いますので、どうぞお楽しみにお待ちください。
それでは皆様、お元気で。
12月に又お会いしましょう!

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