Kiyomi D.

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赤ちゃん誕生

emily's birth

いいお天気が変更し、今日は朝からづーっと雪です。
いつもでしたら朝降って午後からは止み、雪の跡形も見られなくなるのですが、きょうは違います。
北風に乗った雪がしんしんと降っており、外は真っ白。
なんだか北国に住んでいるみたい。
ここまで白くなると素敵なものです。

emily's birth

雪が降ると殆どの人が外出をあきらめるので、外はそれは静か。学校もなければ、会社にも行かない。
雪の日にタイヤにチェーンを巻いていないと罰金を払わなければいけないので、私たちも外出を諦めることになりました。
サウナやスチームバスがあるエステに行こうと、バスローブ、タオル、洗面道具、そしてリラックスチェアーで読む本等をバッグに用意していたのに、なんとも残念。こんな日に限って雪なんて・・・。

喜んでいるのは大家さんちの犬だけで、ものすごいダッシュで家の前を走り回っています。
「ゆーきやこんこん、あられやこんこん、・・・・、い~ぬはよろこびにわかけまわり、ねーこはこたつでまるくなる」
という歌の通りです。
私達はしょうがありません、今日は熊が冬眠するように家に閉じこもることに決めました。

さて、イタリア全国かどうかは分かりませんが、トスカーナの住宅街を歩いていると、時々玄関のドアにピンクやブルーのリボンを飾っている家を見かけることがあります。
これは、「この家に赤ちゃんが生まれました」というサインなのです。
直径20cmほどの花の形のリボンが上にあり、その下に長さ30cmほどのリボンが下がっています。
ピンクが女の子、ブルーが男の子のサインです。
時々リボンの上に赤ちゃんの名前を書いているところもあります。
リボンの付いたドアを見ると、ああ、この家の中に愛情に包まれた生まれたての赤ちゃんがいるんだなあ、となんともほのぼのとしてしまいます。

emily's birth

さて、このリボンがもうじき私達の住んでいる家の門のところにも飾られます。
いえいえ、私が赤ちゃんを産んだわけではなく、一階に住んでいる大家さんちの娘さんロベルタが1月27日、朝6時半に無事女の子を出産したのです。
予定日が19日~24日の間だと言われており、さあいつ生まれるのか、とみんな期待していたのですが、とうとう昨日産声をあげました。
特に、1ヶ月ごとにトスカーナとサン・サルバドールを単身赴任で行き来している彼女のお父さん(大家のダンテ)は彼女の予定日にあわせて帰ってきていましたので、早く生まれてくれ、と落ち着かない毎日でした。
「今生まれないと、もう3年は出てこないよ!」なんてジョークを言っていましたけれど、誰よりも心配していたようです。

27日の朝、無事生まれたと言う連絡を貰い、私とジョン・クロードは大家さんのおばあちゃん(ダンテのお母さん)を誘って、面会時間の1時半に合わせて病院へ行ってきました。
病室に近づくと親戚一同全員集まっていました。
大家さんのダンテが言うには、生まれるまで1時間ごとに連絡を受けたのでおちおち眠れなかったとか。
赤ちゃんを産んだロベルタは、廊下に出した椅子に腰掛け、大きな仕事をやり遂げた満足感で少し放心状態のようでした。
それでも、女性は強いものです。
丸々2日間寝ていないし、食べていないと言うロベルタですが、明らかに幸せそうで、元気でした。

面会時間になり、赤ちゃんを見ることが出来るガラス張りの窓の所へそわそわと行ってみました。
うわー、います、います。
そこには8人ほどの生まれたての赤ちゃんが小さなベッドに入ってずらりと並んでいました。
ベッドの頭の所には赤ちゃんの名前が書いてあります。
ロベルタの赤ちゃんの名前は「エミリー」。
英語名ですが、ロベルタが気に入ったのだそうです。
窓の向こう側に並ぶ赤ちゃんを見てあまりの可愛さに、ひえ~~~、っとみんな声が出てしまいます。
女の子はピンクの毛布、男の子はブルーの毛布に包まれています。
小さな頭が出ていて、それでも髪の毛の多い子、少ない子、黒毛の子、金髪の子、と既にそれぞれ特徴があり、生まれたばかりなのに大したものです。
ただし、髪と目の色は成長するにしたがって変わるのだそうです。

最初は寝ていた赤ちゃん達ですが、誰かが見ているのが分かるのか、1人ずつ起き出して、小さな手を動かし始めました。
もう、めっちゃ可愛いです!
ロベルタのエミリーは、よだれをぶくぶく吐き出し始めました。
そうしているうちに今度は真っ赤な顔になり「オンギャー」と泣き出しました。
防弾ガラスのようになっている窓の外にもその泣き声は聞こえてきて、彼女は将来元気な女の子になりそうです。

その横っちょにいた同じ日に生まれた「アンドレア」と言う男の赤ちゃんはちょっと変わっていました。
皆と同じように起き出したのですが、他の赤ちゃん達が目をつぶっているのに対し、彼1人目を開き、静かにあちらこちらを見回し始めたのです。
腕も振りながら、頭をゆっくり左右に向け、既に物が見えるように、はっきりとした目で見回すのです。
口も少し開けて「ニョゴ、ニョゴ」と言う感じで、それはそれは可愛らしい。生まれて何時間後の赤ちゃんで、こんなにはっきりした表情をするものなんでしょうか!
このアンドレアと言う男の子は、中にいた看護婦さん二人をも少し驚かせたようで、面白かったのかお医者さんも中に入ってきて、ほほえましそうに3人でアンドレアの観察をし始めました。窓の向こう側なので何を言っているのか聞こえませんでしたが、「うん、確かに見えているみたいだね!」
とお医者さんが言っているようでした。
可愛いアンドレア、彼は将来どんな男性になるのでしょうか。

ロベルタは日曜日に家に帰ってきます。
これから赤ちゃんの鳴き声が聞こえる毎日になるでしょう。
そして赤ちゃん中心の生活が始まるのです。
新しい命が芽生えたと言うことで、この家に又違った新鮮な光が充満し始めました。
私も早くエミリーの子守がしたい!

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