Kiyomi D.

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ツール・デ・ポマランチェ

cycle race

復活祭も過ぎ去り、先週の日曜日27日には冬時間から夏時間に変更しました。
日本とイタリアの時間差は7時間。
さあ、いよいよ春の到来です。
木々には桜の花に似た薄ピンク色の花が満開になり、太陽の下で輝いています。
アーモンド、杏、チェリーなどの木。
私は桜の咲く時期に生まれましたので桜の花が大好きなのですが、こちらには桜の木が少なく、私はフルーツの木でその代わりとして楽しんでいます。

柔らかい丘の緑も濃くなり、目と心が癒されます。
これからますます緑がまし、その中に菜の花が黄色く咲き、その後は真っ赤なポピーの花が続きます。
待ってました、春の到来!です。
朝起きたときも、数日前まではカーデイガンを着てソックスをはかないと風邪を引きそうだったのに、今日は初めてパジャマに素足でキッチンをうろつくことができました。
こんな小さなことで私はとても嬉しくなります。
外出するにもコートがいらなくなり、厚めのカーデイガンで十分です。
ブーツも暑く感じるようになり、冬の重い履き物、着る物とはしばしのお別れです。
ああ、何もかも軽くなり、だから心もふんわりと浮き立ちます。

いいお天気になるとトスカーナに増えてくるのが自転車のツーリングです。
サイクリング用の自転車ではなく、競技用の1台何十万円とする自転車。
実は自転車がこんなに高いとは、ついこの間まで知りませんでした。
私が今まで乗っていた自転車(マウンテンバイク)はギアーこそたくさんありましたが、値段はしれています。
でも、こちらで自転車に乗る人は、プロの自転車乗りと同じユニフォームを着、プロ用の自転車を使用します。
イタリア人が大好きなスポーツはまずサッカー、これはもう宗教のような物ですが、それからF1,そしてバスケットと続きますが、個人で簡単にできるスポーツというとやはり自転車でしょう。
特に中年男性が好きなスポーツのようです。

トスカーナは柔らかい丘が連なり、それと共に道もアップダウンが続きます。
その起伏が自転車でトレーニングをする、又楽しむために最適なようで、遠くはアメリカから、そしてヨーロッパから自転車持参でやってくるグループが沢山います。
特に、前回のオリンピックで優勝した人が私の隣町の出身な為、このあたりをツーリングする人は多いのです。

そんな中、私の町ポマランチェでは、先週の日曜日、自転車競技がありました。
毎年開かれている競技ですが、今年はなんと950人の参加者があり、女性の参加者も100人を超えていました。
ツールドフランスで3位になったという人も出ており、TV、ラジオ中継もあり、かなりちゃんとしたものなのです。

友達である警察官のクラウディオも自転車のクラブに入っており、暇さえあれば自転車に乗っていますが、今回初めてポマランチェの自転車競技に参加しました。
競技は短距離、中距離、長距離と3種類あり、クラウディオが参加したのは110kmを走る中距離です。
朝8時に町に到着しクラウディオは準備を始めたようで、ガールフレンドのアンジェラから電話が入りました。
私たちが町に駆けつけてみると、出発地点の回りはマッサージクリームの匂いがぷんぷん漂っていました。
個人で参加者する人たちはどこか駐車できる道を見つけて車を止め、そこで着替えをしています。
これから何キロも走る人が、一人で着替えて準備をしている姿があちらこちらで見られました。
家族や友達が手伝うわけでもなく、一人で淡々と準備をしています。
ふ~ん、自転車競技って割に地味なものなのですね。

ただ、私たちは違います。
アンジェラと私たちはさっそく着替えの済んだクラウディオのところへ行き、声をかけたり写真を撮ったり。
またクラウディオもひょうきんな人ですから、カメラの前でポーズをとったりしてかなり楽しんでいます。
回りはTVやラジオの中継アナウンサーの声が大きく響き渡っています。
さあ、クラウディは110kmの道を完走できるかどうか・・。
出発時間が迫り、いよいよお祭り気分が盛り上がりました。
そして、いよいよしゅっぱーつ!
私たちの目の前を自転車がシュンシュンと通りすぎていきます。
その早いこと!

私たちは先回りをして、彼らが通る道に待機しました。
950人もの参加者ですから、その中からクラウディオを見つけるのは大変な仕事だと思っていたのですが、うまい具合に彼を見つけて、私たちは大声で応援しました。
そうすると、クラウディオは私たちの方を向いてにっこりと笑うのですから、たいした人です。
途中はアンジェラと共に家に帰り、お茶などをして、到着時間まぢかに又町へ戻りました。
そのころには太陽がさんさんと照り暑いくらい。
この日の夕方、ジョン・クロードは顔が真っ赤に日焼けしていました。
やはり、オリンピックで3位だった人が長距離部門で優勝し、クラウディオはその後思ったよりも早く到着地点を通過しました。
通過した後、私たちは彼を見失い、どこへ行ったのか探していたのですが、彼はそのままおしっこができる場所を探しに突っ走ったのだそうで、その後無事の完走を喜び合いました。

競技の後は町の広場に用意された簡易レストランで昼食です。
この昼食、食べに来る人全員に振る舞われたのです。
列に並び、大きなお盆をもらったら、その上に大盛りのパスタ2種類、生ハムとチーズ、ドルチェ2種類、パン、そしてワインやお水を乗せてくれました。
これ全部無料。
いったい何人の人が食べに来たのでしょう・・。
競技参加者だけでも950人はいるのです。
それに町の人や応援する人たちを入れると一体全体何人になるのか・・・!?
そんな人たち全員に昼食を振る舞った町は偉い!と私は一人で感心しておりました。

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