Kiyomi D.

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トリフュ三昧

ristorante del duca, volterra

秋晴れも良いところ、とても暖かい日が続いているトスカーナです。
外で少しでも身体を動かすと汗をかいてしまうほど。
夏の終わりから秋の初めにかけて余りぱっとしないお天気が続いたのでそのお返しでしょうか、それともインディアンサマーの長いやつとでも言いましょうか、心がウキウキするようなお天気で、草花も春と間違えて咲き出すほどです。
「アイルランドではこれは真夏のお天気ですよ!」と昨日食事を 一緒にしたアイルランド人の夫婦が驚いていました。

それでも秋は秋。
今はトリフュで何処も盛りあがっています。
隣町のヴォルテッラでもトリフュのお祭りが約1ヶ月の予定で行われていて、各レストランでは今高級品の白トリフュの料理が楽しめます。
そのレストランの中の一つ「デル・デゥッカ」では先週の土曜日、トリフュの夕食会というものが開催され、私たちも行ってきました。
スローフード的に地元のトリフュを地元の野菜やハーブなどで味付けした手打ちのパスタとこれまた地元のお肉で食して貰おうという趣旨の夕食会でした。

このレストラン「デル・デゥッカ」のサイトをジョン・クロードが作った縁でここの家族とも親しくなった私たちですが、レストランの食事は本当に美味しくて機会がある度にここへ食事に出かています。
後で知ったことですが、イタリアで出版されている各レストランガイドブックには必ずこのレストランの名前が出ているのです。
数週間前に出た2006年のイタリアレストランガイドブックの中でもヴォルテッラのレストランとして唯一このレストランが紹介されていました。

更に「デル・デゥッカ」は9月に行われたピサ県のクッキングコンクールで堂々優勝してしまい、地元の新聞の一面にシェフの写真と共に記事が大きく出されたのです。
お~お、シェフ(奥さんとご主人)はそれこそ大喜びです。
レストランの入り口にその新聞を置いて、入ってくる知人全員に自慢していました。
益々「デル・デゥッカ」の名が出版社や料理研究家などに知られるようになったわけです。

ということで、先週の土曜日はその優勝したレストランの食事を味わおうではないか、と言うピサのトリフュ協会が主催した夕食会でもあり、各市長さん、新聞記者、出版社、フランスのミッシェラン的なガイドブック「ガンベロロッソ」の役員、有名なワイナリーのオーナーたちがレストランに招待されていました。
その数ざっと25人ほどいたでしょうか。
長く用意されたテーブルにスーツ姿の招待客が何となく真面目な顔で座っていました。
私たちと同席になった人達が、このグループの席を「料金を支払わない席」と呼んでいたのが面白かったです。

レストランには40席しかなく、残りの15人ほどが自由参加で、私たちもその内の二人でした。
そして勿論私たちは夕食会の料金を支払います。
この夜の食事代は「カステッロ・デル・テリッチオ」のワイン込みで一人80ユーロ。
「カステッロ・デル・テリッチオ」と言えば、有名なワイン「サッシカイヤ」や「オルネライヤ」に次ぐ知られたワイン「ルピカイヤ」を生産しているワイナリーで、その「ルピカイヤ」の名を見たジョン・クロードが直ぐに参加を申し込んだ次第です。

私たちの席には7人が座っていましたが、その内の2人はオステリア専門の評論家だそうで、週に3~4件のオステリアを隠れ訪問しては味見をしているそうです。
そして勿論彼らの評価でオステリアガイドブックに名が載るか載らないか決まるわけです。
いろいろお話を聞いていると面白いこと。
ただこの夜の参加は自由参加だったようで、 彼らも料金は 自分たちで支払っていました。
だからこそ、隣のグループの席を「料金を支払わない席」と呼んでいたわけです。

私の横に食事が始まってからやってきた初老の紳士がいたのですが、なんと彼は「ピエヴェ・デ・ピッティ」と言うワイナリーのオーナーでした。
とにかくこの私たちの席が大いに盛り上がりまして、食事の評価からワインの評価、とにかく面白かったのです。
先ず食事ですが、この夜のトリフュ料理はオテリア専門の評論家たちも口を揃えて「うまい!」と言っていたほど最初から最後まで色彩感覚豊に、繊細な味付けで、ちょうど良い量の食事が出てきて、本当に最後のスプーンまで美味しく頂くことが出来ました。
難を言えば一つだけ、アンティパストがちょっと冷えていたことです。
これさえなければ、文句なしのメニューでした。

ここでメニューをご紹介しましょう。
前菜はひよこ豆のクリームソースを下敷きにした上に薄切りのジャガイモ、トマト、ポルチーニのオーブン焼きが層になって置かれた上にトリフュが削られたもの

プリモは先ず地元の鶏ガラスープの中にふわふわ卵の浮いたもの、の上に更にトリフュ
そして
二つ目はラベッジオーロチーズ入りの直径15cm程のラビオリの上にクリームソースとトリフュが乗ったもの

セコンドはトリフュ味付けのソーセージを詰めて焼いた野鳩とマッシュポテト、オニオン、オリーブの実の付け合わせの上にトリフュが乗ったもの

デザートはブラックチェリーとリコッタチーズのケーキの上からチョコレートソースがかかり、 アーモンドの刻んだものとオレンジの皮のキャラメル状のものが飾りとして乗ったもの

ワインはCon Vento 2004, Tassinaia 2000, Lupicaia 2000

ワインの評価では、どれも美味しいけれど Tassinaia 2000, Lupicaia 2000は共に未だ若すぎるので後数年置くと美味しくなるだろうということでした。

さて全く知らない者同士が相席になるとこちらではどうするかと言いますと、先ず「私の名前はロベルトです」と握手をする手を出します。それに答えながら「私の名前は清美です」と手を出して握手をするのです。
そうやってテーブル全員で名前の交換と握手をしたらもうみんな友達です。
どこからか話の種を見つけては全員でどんどん盛り上がり、知らない人だから恥ずかしいなんて言っていられない状態になります。
イタリア人(トスカーナ人)は心底明るくて人が良いのでこういう事もすっと出来るし、やられたこちらもホッと安心して同席できるのです。
社交上手です。

さて、一段と話しが盛り上がり笑い声も高くなった私たちの席では食事が終わってからもみんな立ち上がろうとせず(ちなみに隣の料金を支払わない席のグループは食事が終わったとたんにいなくなってしまいました)、そこにレストランのオーナー(シェフ)も加わって益々お互いの親しみがわいてきました。
そこでどういう風にひっくり返ったのか、11月15日に又同席した全員がこのレストランに集まって、わたしの横に座っている初対面のワイナリーのオーナーの所へみんなで出かけていき、彼のカンティーナを見た後、彼の家でステーキの夕食を食べようじゃないか、となったのです。
なんという盛り上がり方!

ワイナリーのオーナー、セルジョは早速家に電話を掛けて、「15日に7~8名集まるからステーキを用意しておいて」なんて言っています。
ある人は「僕はポルチーニを持って行くよ」と言いだすし、別の人は「絞りたてのオリーブオイルを持参するよ」と言っています。
ジョン・クロードは「僕は地元のグラッパを持って行くよ」と言っています。
「デル・デゥッカ」のオーナーは「俺はさ、俺はさ、パンを持って行くよ」なんてけちなことを叫んでいます。
さあ、11月15日どうなりますか。
大変楽しみなことです。

ristorante del duca, volterra

ristorante del duca, volterra

ristorante del duca, volterra

ristorante del duca, volterra

ristorante del duca, volterra