Kiyomi D,

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法王達のテルメ

terme dei papi

皆様こんにちは!
今日も春の気候で、機嫌のいい私です。
私は機嫌がいいと鼻歌が出るので、「おっ、今日は機嫌がいいねー」とジョン・クロードから直ぐに言われます。
「いつも機嫌はいいわよ」と今朝は言い返してみると、「いやいや、そんなことはない」という風に首を振られました。
いけない、いけない。

先日、海側の街に行くとミモザの花が(と言うか大きな木ですが)黄色く咲いていました。
いよいよ冬は終わりです。
暖冬のため丘陵は早くから麦の若葉が10cmほど育ち、新緑のカーペットが目に眩しいくらいです。

そんな良いお天気の中、先週4日間、ラツィオ州のヴィテルボと言う街にあるテルメへ行ってきました。
ローマに続く道をひたすら走り、ローマまで後90kmと言うところにこのテルメはあります。
私の家から約4時間の道程です。
名前は「Terme dei Papi」、法王達のテルメという意味。
エトルリア時代に発見された温泉で、既にそのころから病気などに良く効くと言うことで人々はこのお湯を利用していたようですが、中世になり法王達がいつでも利用できるようにと宮殿を造りテルメに仕上げたのです。
ダンテやミケランジェロなど有名人も利用し、そのことを本や絵に描いているそうで、イタリアの中では数あるテルメの中でも貴重なものとなっています。

法王達の宮殿でしたから今はそれを改築してホテルにしており、テルメと共に高級感を漂わせています。
3泊しようと思いサイトで調べると1泊一人125ユーロ。
2人で宿泊したら1泊250ユーロです。
私とジョン・クロードはお金持ちではありませんが、何か必要な時には後先考えずに使ってしまう方で、今回もいつ又行けるか分からないし、せっかく行くのだからテルメにある高級ホテルに泊まろう!と思ったのですが、一緒に行く大家さんちの奥さんが料金を聞いた途端に「・・・んぐっ」と詰まってしまい、「もっと安く泊まれないか訊いてみるわ」と電話機の方へ走り出してしまいました。

テルメのホテルに訊くと、なんと満室とのこと。
部屋数がほんの20個ほどしかないので直ぐに満室になるらしいのですが、それにしても行く人は行くのです。
喜んだのが大家の奥さんで「満室なんだってー」と言うことで、ついでにテルメの人に推薦のホテルを訊いてみると、5分ほど離れたところにベスト・ウエスタン・ホテルがあるとのこと。
テルメとも共同していて何かと便利と言うことで宿泊料金を訊いてみるとダブルルーム1泊100ユーロ。
250ユーロと100ユーロを比べると、かなりの違いがあります。
それにベスト・ウエスタン・ホテルは4星で近代的な作りになっていて云々の情報を電話の側で聞いていた私たち、みんなが頭を縦に振って即予約となりました。

そしてこのホテルが大当たりだったのです!
去年の10月に出来たばかりだそうでテーブルセットのある広い部屋は未だ誰も使用していないかのようにぴかぴか。
各部屋にはPCネットワークが設置され、ミニバーに入っている物は全てタダ!
枕は羽、コットン、特別に柔らかい素材など6週類あり、そこから好きな物が選べます。
宿泊料金に含まれている朝食はビュッフェスタイルでテーブルに溢れるほどいろんな物が並んでいます。
これで100ユーロ!?
良く聞いてみると、私たちが宿泊した部屋はジュニアスイーツだったようで、他の部屋はもっと安い料金のよう。
いや~、良いところを見つけました。
適度に硬い高級ベッドで到着した夜から私は我が家のようにぐっすり眠れました。

さてテルメ。
先ずはドクターチェックから始まります。
このテルメで有名なのが温度58度のグロッタ(洞窟)です。
水着を着て下に降りていくと、係の男性からベッドシーツのような大きな白い布を渡されます。
最初は何に使うのか分からなかったのですが、グロッタの中で椅子の上に敷いてその上に座ったり、又シャワーを浴びてそれで身体を拭いたりとタオルの変わりに使うようです。
さあ、グロッタに入ります。
中は4畳半くらいの小さな空洞が二つに分かれ、入った途端にものすごい湿気と暑さで一瞬息が出来ないくらいでした。
洞窟のあちらこちらに鍾乳洞のような岩が出来、そこから熱い湯とガスが常に吹き出しています。

設置された木の椅子にシーツを敷き座ると、瞬く間に身体が湿気でびっしょりとなります。
この湿気が急激に汗をかき身体から水分を抜いてしまわないよう助けているのだそうです。
又空気中の湿気(ガス)は気管支炎にもよく効くとか。
でも最初は4分間しか入らないように言われました。
言われなくてもそれ以上は入っていられません。
私は心臓がドキドキしてきました。
ゆっくり出ると汗を流すだけの簡単なシャワーを浴びます。

シャワーを浴びてさあ次はと思っていたら、 又係の男性に誘導されて今度は奥にあるベッドに横たわるように指示されました。
そこには10個ほどのベッドが一つ一つ仕切を間に並んでいます。
ああ、ここでリラックスするのだなと思い横たわると、思いがけず係の人が寄ってきてベッドシーツとパラフィン紙で身体をきっちり包んでくれました。
丁度ミイラのようです。
「はい、ごゆっくり」と言う感じで、身動きできない形で薄暗い部屋に残されました。
天井を見るとフレスコ画が描かれていました。
外では鳥の声がしています。
リラックスします。
幸い私はトリートメントのプログラムを組んでいたので、15分ほどリラックスすると次の場所に移動しましたが、そうでなければ寝てしまったかもしれません。

テルメには各種のプログラムやトリートメントが沢山用意されています。
私が2日間で受けたのは、
イドロマッサージ(ジャクジ)2回、リフレクソロジー2回、ローマ式循環テルメ、アユールベーダマッサージ、シャワー下のマッサージ(日本語で何というのか)、アンティストレス・インディアンマッサージ。
宿泊料金が安くて済んだ分、マッサージに回せました。
これで1人約250ユーロ。
先ずはグロッタから始まり、そしてマッサージ。
マッサージの間に時間があれば外にある温泉プールに行きます。
この温泉プールはイタリアで一番大きな温泉プールで、プールの端から58度のお湯がこんこんと沸き出しており、座っているだけで(尻をついて座れる程浅い場所からどんどん深くなって行く)リュウマチ、関節症、湿疹などに良く効くそうです。

私たちが行った日は丁度バレンタインデーだったのですが、祭日でもないのに若いカップルが沢山プールに入っていました。(サイトに載せた写真は次の日なので人がかなり少ない)
2日目のお昼時、食堂で簡単な昼食を食べていたのですが、この日も私たちの周りはティーンエイジャーや若い人達ばかりが座っていて、驚いた大家のダンテが直ぐ横のテーブルに座っていたローマから来たという清純そうな20歳前半の若いカップルに、「僕たち(私、ジョン・クロード、ダンテ、ダンテの奥さん)は年寄りに見えるだろう?」と訊いていました。
すると可愛い女の子が「ううん、とっても人生をエンジョイしているように見えますよ」と答えてくれました。
う~~~~ん、お利口な答え。
それでもダンテは大喜び。
「ブラバー、ブラバー(良い子だ、良い子だ)、彼女は正直に言っているよ!」と彼女を絶賛していました。

4日目、トスカーナに帰る途中で偶然“テゥスカニア”というエトルリア人由来の街に出会いました。
この街の小高い丘から遠くに見える景色は私にミケランジェロのモナリザの背景を思い出させました。
機会があれば、もう一度ゆっくり行ってみたいと思います。
勿論テルメにも。

terme dei papi

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