秋の空はどこまでも高く
今日は素晴らしい9月晴れ。
と言っても、明日からすでに10月ですけど。
2007年も後半です。
今年、トスカーナは9月に入ってすぐに秋らしくなりました。
それでも前半は太陽の下にいるとまだ肌が焼けそうでしたが、雨が降るたびに気温が下がり、つい数日前にも待望の雨が降ってくれて、とうとう秋真っ盛り。
木々の葉が色づき初め、葡萄の葉も紅葉し始めました。
それにしても秋の気候というのは何ともすがすがしい。
暑くもなく、寒くもなく、 暑い夏を過ごしてきた身体にはほっとします。
今週の日中最高気温25度。
ただ、 石造りの我が家はこの時期が一番冷えます。
30度を超す夏の日に家に入ると室内温度が27度ほどあってもヒンヤリ感じるものですが、外の気温25度前後、と言う今日この頃では、家の中の温度が20度に達しない日が多くなり、そうするとじっと座っていたりすると冷えてきます。
手足が冷たくなり、ソックスをはいたりカーディガンを羽織ったり、更にその上に暖かいベストを着たり。
ベッドに入ってもなかなか暖まらなくて、昨日はとうとう湯たんぽを入れてしまいました。
これも10月15日から地熱発電所で利用している熱湯が家の暖房として入るまでの辛抱です。
そうすると家の中は又南国のようになります。
それまでは、日中はせいぜい外に出て太陽で暖まることにしましょう。
これからいよいよ秋の味覚が出てきます。
ポルチーニ茸はすでにこちらのレストランにも出ていますが、今出ているのは北イタリアのものがほとんどで、地元のポルチーニはこれからです。
トリフュもポルチーニと共に出てきます。
猟の時期も始まり、週末には鉄砲を担ぎ、犬を連れた人たち(ちゃんと免許をとっている人たちです)の車が森の入り口に集まっています。
今は雉(キジ)が狙いのようで、トスカーナ名物のイノシシは11月に入ってから猟が始まるようです。
実は昨日シエナへ行く途中の田舎道を走っていましたら、私たちの車の前を4匹のイノシシが道路を突っ走っていくのを見かけました。
4匹も一緒に見るのは初めてで、そのことを大家さん達に話をしたら、イノシシが車に当たったら、車は大きなダメージを受けるんだよと教えてくれました。
それだけではなく、イノシシがこちらに向かってくることもあるそうな。
ふ~む。
私は毎朝、家の前にある谷をウォーキングしているのですが、時々私の足音に驚いて雉が飛び立つことがありますが、イノシシだけには出会わない方がいいようです。
この谷には民家がなく、時々鹿も出てくるところなのです。
さて、7年前に私たちがトスカーナへやって来るまで、ジョン・クロードは26年間、私は20年間ベジタリアンでした。
2002年にジョン・クロードがソムリエの学校へ行く、と言い始め、肉や魚も食べないと肉と魚料理に合うワインが分からないだろう、と言うことで一緒に少しずつ肉を食べ始めました。
この5年間、我が家で食べることは数えるほどしかありませんでしたが、レストランへ行った時や友達の家へ行った時にワインと共に味わっていました。
大家とその従兄弟が一緒に鶏や羊を飼っていて、その綺麗な肉を頂くこともありました。
肉を食べるようになってからこちらの人には、これでトスカーナ人になったと大いに喜ばれたものです。
それが、2週間ほど前、急にジョン・クロードが「又ベジタリアンに戻る!」と宣言しました。
元々我が家ではベジタリアンでしたから、ほとんど変化はないのですが、友達にそのことを言うと、「え~~、じゃぁ、魚は?」「生ハムやツナ缶は?」と、本当に野菜だけしか食べないということが信じられないようです。
良くご飯に招待してくれた大家さんちのおばあちゃんは「じゃあ、これから何を作ったらいいの?」と怒ってしまいましたが、元々ベジタリアンだったのだから、又元に戻るだけだ、と説明すると何となく納得してくれました。
でも、これからおばあちゃんのところにご飯を食べに行く回数がぐんと減ることは確かです。
幸いこちらでも真空パックの豆腐が買えますので、イタリアの野菜と組み合わせて美味しいベジタリアン料理が簡単に作れます。
ただ、このところ忙しさにかまけてちょっと料理の手を抜いているので、スイスとドイツのベジタリアンレストランでクックとして働いていた時にため込んでいたベジタリアンレシピーを、又見直そうかなと思っているところです。
我が家は郊外にあり、周りには自然に育ったフルーツの木があちらこちらにあります。
この頃ジョン・クロードが外に出ると、毎回、何か持って帰ります。
濃い紫色に熟したプラム。
それは甘くて、そのまま食べても美味しいのですが、あまりに採れるので私はジャムにします。
大きなクルミの木もありで、実が地面に沢山落ちていて、それも拾ってきます。
拾ってきたら数日間乾燥させます。
すぐに殻を開けて食べると実が湿っていますし、やはり乾燥させた方がクルミの味が楽しめるからです。
葡萄の収穫がもう始まっており、食卓用の(食べる)葡萄も美味しくて、毎日私も食べているのですが、家の前にある谷には特別な味のする葡萄の木があります。
私はその葡萄を食べると、どうしてか子供の時のお盆を思い出します。
遠い昔、同じような味の葡萄をお盆の提灯を見ながら食べたことがあるような。
去年はそれでジャムを作りました。
今年もジョン・クロードが持って帰ってくるそうで、楽しみにしています。
皮と種を取らないといけないのがちょっと面倒ですが、このジャムは本当に美味しくて、チーズに良く合うジャムです。
アイルランド人の友達がトスカーナに買った家の裏にはリンゴの木が沢山植わっています。
以前の持ち主が育てて実を売りに行っていたらしく、その木の数は普通ではありません。
でも、友達はトスカーナの家を年に4週間しか利用することがなく、あんなに沢山あるリンゴもほとんど味わうことがありません。
私たちに好きなだけ採っていったらいいからと言ってくれ、今我が家にはりんごが山ほど積まれています。
これをジョン・クロード好物のリンゴソースやリンゴジャムにしようと考えているところです。
アップルパイやケーキも美味しいし。
家の前にある柿の木(イタリアでもカキといいます)の実もオレンジ色に熟し始めました。
栗の実ももうじき収穫時期。
秋の味覚が身の回りに一杯です。