Kiyomi D,

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サフラン

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朝の気温3度、日中気温10度、とめっきり寒くなってしまい、あわてて冬のコートを着始めたトスカーナでしたが、それも数日のことで、又暖かい日が戻ってきました。
昨日まで降っていた雨も止み、真っ青に晴れ上がった今日は朝の気温15度以上、日中気温25度以上まで上がりました。
Tシャツの上にカーディガンを着て買い物に行ったら暑くて汗をかいてしまいました。

今日27日の日曜日から、ヨーロッパは冬時間に変更です。
1時間戻る形になるので、なんだか得をした気分です。
その代わり、夕方は早くから暗くなります。

私たちの大家であるダンテは一人息子。
今年で丁度50歳になり、この間友達大勢を呼んで誕生日会が開かれました。
娘達も大きくなり、地熱発電所のエンジニヤーですからお金にも余裕があるのでしょう、とにかく好きなこと、考えついたことはさっさと実行に移してしまう人です。

去年は、単身赴任先から数週間帰ってきた間に、サクランボ、スモモ、アプリコットなどのフルーツの木を自分の土地である谷に50本ほど植えて又赴任先に帰っていきました。
又、ある時は200本持っていたオリーブの木に、更に200本足して、合計400本のオリーブの木の持ち主となりました。
ワインが好きなので自分でワインを作りたいと、葡萄の苗も植えました。
家でエステを楽しもうと、地下にジャクジーとサウナを建築中です。
勿論、こういう作業をするには周りの応援が必要です。
従兄弟や私たちも手伝います。
自分の好き勝手なことをやっているようで、 実は家族のことをよく考えている人でもあり、そんな彼のお手伝いをするのは、発想が飛び抜けているだけに、とても楽しいのです。

数ヶ月前は、「自分たちで上等なサフランを作ろう」と言い出してしまいました。
そんなにしょっちゅう使うものではないし、高いから、と言ったのですが、いったん言い出すとなかなか諦めない人で、又、私たちが興味を持ち、ダンテ自身もサフラン料理が大好きとなると、植えないわけにはいかないでしょう。
とうとう自分でサフランの球根を600個(何万円もします)ほど買ってきて植えてしまいました。

そのサフランの花(クロッカス系)が今咲き始めました。
通常、10月中旬から11月中旬がサフランの収穫時期だそうですが、今年は雨が少なかったこともあり、遅れたようです。
花の高さは10cm程しかありません。
朝8時頃はまだ閉じていて、太陽が照り始める10時頃に開きます。
その時が収穫時。
夕方には閉じてしまうので、毎朝収穫しなければいけません。

花の中を見ると、赤くて細い雌しべが3本スッと伸びています。
これがサフランです。
お天気の良くなったここ数日は毎回100本以上の花を収穫し、3本の雌しべをゆっくり抜き取っていきます。
この作業がちょっと大変。
抜き取ったら直ぐに乾燥させます。
丁度、家には暖房が入っており、窓辺に置いておくと直ぐに乾燥します。
70%は縮むと言われ、元々細い糸状のサフランは乾燥すると絹糸のような細さになってしまいます。
600球根を植えても、大家さんちと我が家で楽しむのがせいぜいでしょう。
それでいいのです。
植えること、花を収穫すること、雌しべを抜き取ること、家族全員が一緒になって何かをすること、が楽しいのですから。

サフランの品質を左右するのはクロシン(着色力)、ピクロクロシン(風味)、そしてサフラナル(香り)の3種からです。
市場で販売されるサフランは国際標準化機関(ISO)で分析試験が行われ、その結果を基に数値が与えられます。
数値が高ければ高いほど良い品質ということになります。
私たちのサフランは個人用ですからISOの分析など受けませんが、 科学肥料等足さずに出来たサフランはダンテの希望通り、上等のサフランになるはずです。
サフラン・リゾットを食べるのが今から楽しみです。

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