ミネラルウオーターが壁から出てくる
我が家の庭にあるプラムの木が花を咲かせ始めました。
ほんの2日ほど前に、大きな蕾がもうこんなに一杯、なんて見ていたのですが、今日はそれがほころび始めているのを発見。
ここ1週間で満開でしょう。
葉が緑と言うより赤っぽい色で、花も根本が鮮やかなピンク色から徐々に白くなっていて、この木を見ると私は舞妓さんの化粧(目元や眉を赤く描いている)を思い出してしまいます。
華やかな春の象徴です。
このプラムの木の前に小さな石造りの家があります。
家といっても、我が家の横にくっついたように作られた、地熱発電所から送られてくる熱湯で暖房をとる暖房装置のコントロール機器と私の洗濯機が入っている小さな、言えば物置的な家ですが、そこにこの間ミネラルウオーターを作る機械が新しく入りました。
機械と言っても小さなもので、洗濯機の上部に設置されたのですが、なんとこの機械であのミネラルオーターを作ってしまうのです。
イタリアの水は硬くて、硬いだけではなく台所の水道をひねると先ずは真っ白な水が出てくるという、いったいどんな成分が入っているのかと驚いてしまうようなもので、一般的に飲み水には使いません。
トスカーナではシエナの町の水が飲み水に使えるほど綺麗という話ですが、それ以外の町では普通、皆ミネラルウオーターを買って飲んでいます。
スーパーマーケットで2リットル入りの水をショッピングカートに山盛り一杯買っている人をよく見かけますが、私たちも近くの酒屋さんからミネラルウオーターを1ダース、2ダース単位で買っていました。
プラスチックボトルに入っている水は良くない、とか言われて瓶入りを買い、空になると酒屋さんに持って行くという、ちょっと面倒くさいことをしていたわけです。
そのミネラルオーターを我が家で作ってしまおうと、階下に住んでいる大家が今年の初めに話を持ちかけてきました。
私たちの住んでいる家は郊外に建っている一軒家で、こちらでは「ポデーレ」と呼ばれ、昔は農家で大家族が住んでいた大きな家です。
それを大家のお父さんが購入し、今は、階下に大家さん家族と大家の娘家族(大家の家の横に新しく増築)そして私たちが2階に住んでいます。
そういうことで同じ一軒家に住んでいることから、暖房装置など共同で使えるものは全て共同で購入し、使用しています。
さてこのミネラルオーターを作る機械は多くのレストランで使われているそうで、不純物を取り去り綺麗な水を作るのだそうです。
それだけではなく、なんとガス入りのミネラルオーターも作ってしまうのです。
オーダーして何週間か待った後、やっとこの機械が設置されました。
笑ってしまうのは、ミネラルオーターが出る蛇口が石造りの家の壁から外に突き出ていることです。
一つはミネラルオーターのナチュラルが、もう一つはガス入りが出てきます。
今まで購入していたミネラルオーターが壁から出てくるなんて、正にジョークです。
レストランでは使っていますが、一般家庭でこの機械を使っているところが果たして何件あるか。
家の大家は本当に面白いことを考える人です。
スイスもそうでしたがイタリアの水もかなり硬くて、シャンプーをするとその後必ずコンディショナーを付けないと髪がごわごわして櫛が通らないほどなので、出来れば家にある全ての蛇口から綺麗になった水が出てくるのが望ましいところですが、何しろ3家族がいる大きな家です。
それぞれの家庭の蛇口から綺麗な水が出るようにするには大きな工事が必要だということで、結果的に共同蛇口設置となったわけです。
なんだか昔のように井戸に水をくみに行くという感じで21世紀の生活様式には似合わないのですが、でも蛇口は直ぐそこです。
飲み水、料理に使う水だけが必要で、後は普通に蛇口からの水を使えばいいのですから、たいしたことはありません。
5リットルボトルに詰め込んで、毎日使っています。
2日経ったら残りは捨てるようにと言われていますので、いつも新しい水を使っていますが、それじゃぁ、今までボトルに残ったミネラルオーターを3日も4日も飲んでいたのはどれだけ悪かったのか、なんて今更ですが呆れているところです。
普通に飲むにはナチュラル水、食事時にはガス入り水と、新しく私たちの日常生活に加えられたこのミネラルオーターの機械、結構楽しんで使っています。
人生、長生きするとホント面白いものが見られるものです。