トスカーナの秋便り
気持ちのいい秋晴れが続いているトスカーナです。
９月末は一時期寒くなり愚痴を言っていた私ですが、それを聞いてくれたのか（誰が・・？）、１０月の初旬からどんどんと暖かくなり、この２週間ほどはインディアンサマーでしょうか、暖かくて良いお天気が続いています。
あまりによいお天気で、この間は海に行ってきました。
泳ぐつもりはなく、ただボーッと太陽に光る海が見たかったのですが、行ってみるとぽつんぽつんとビーチに散らばって甲羅干しをしている人たちは水着姿。
暑すぎることもなし、寒くもなしで、水着で太陽を楽しむには丁度良いな、と思っていたところ、ドボン、ドボンと海に入る人がいてびっくり。
真夏でも、「冷たい～～」と言ってなかなか海に入らないイタリア人たちを笑いながら泳ぐ私たちですが、さすがこの時期の海はちょっと寒いでしょう。
でも、これだけの暖かさでしたら、ドイツ人やオランダ人、又イギリス人達北ヨーロッパの人たちには夏の気候ですから、海に入る気持ちも分かります。
高い気温の中で秋の格好をしてビーチから眺めているだけの私たちの方が浮いているかもしれません。
私たちが行く海辺には松林が続いています。
その昔、フランス人が海の浸食を防ぐために植えたのだそうです。
今は自然公園として保護されており、真夏の日中でも、松の枝で出来た影の中を歩くとヒンヤリし、松針が何重にも折り重なって出来た道は柔らかい絨毯のようです。
散歩やジョギング、また自転車に乗る人だけがこの松林を楽しむことができます。
夏でも人出は多くなく、秋になると週末以外はほとんど人気がありません。
海からの風も遮られ、聞こえるのは鳥の声だけ。
松の匂いがほのかに香り、歩いているだけで本当に癒されます。
私の好きな場所です。
さて、トスカーナの秋といいますと、ワイン作りのための葡萄狩りとオイルを採るオリーブ摘みが頭に浮かびます。
葡萄の収穫は前回のトスカーナ日記でも書きましたが、もう、ほとんどの地区では終わったことでしょう。
オリーブの収穫は、これからです。
既に始めたところもあります。
去年虫にやられて全く収穫のなかった約５００本の大家のオリーブの木は、今年は沢山の実をつけて見るからに健康そうですが、暖かい日が続いた為、実がまだ沢山の水を含んでいるそうで、その実を引き締めてくれる寒い日がやって来るのを今待っているところです。
収穫は１０月末か１１月初旬になるようです。
収穫方法は、木の下にネットを敷いて、手で実をしごき落とします。
それにしても、約５００本のオリーブの木。
全部の収穫が終わるまでどのくらいの時間、労力がかかるのか。
お手伝いする私たちも身が引き締まる思いです。
でも、新しいオイルが出来るのは楽しみなこと。
今から収穫日が楽しみです。
葡萄はワインのためだけではなく、食卓用も勿論あります。
早くは９月初旬から店頭に出てきますが、一番美味しいのはやはり今。
みずみずしくて、甘くて、我が家の食卓には毎日上がっています。
そのままでも美味しいし、ペッコリーノチーズ（羊のミルクのチーズ）と一緒に食べても又美味しい。
グリーンサラダにクルミの実と共に種を取った葡萄を数粒入れると、口の中に甘みが広がり、何とも言えない美味しさです。
秋だからこそ味わえる一品です。
そうそう、クルミの木も大家の谷に大きなのが３本あり、今、沢山のクルミが地面に落ちています。
拾ってきてちょっと外で乾燥させてから割って食べます。
こんなにリッチな物が自然に沢山あります。
１０月というと、サフランの時期でもあります。
去年、大家とジョン・クロードが植えたサフランが、今年は倍、いえ、数倍になって花を咲かしています。
毎朝、ジョン・クロードが花を摘んで家に持ち帰ってきます。
そして二人で赤くて細い雌しべ３本（サフラン）を抜き取ります。
一つ一つ抜き取る作業は時間がかかるため、サフランはこちらでも値が張ります。
今年はあまりに収穫が多くて私たちと大家家族では食べきれないと思いますので、どこかに売りに行こうかと、まぁ、冗談ですが言っているところです。
サフランのリゾット、美味しいです。
これも秋の食べ物ですね。
ポルチーニ茸とトリフュは秋の名物代表格。
生のポルチーニ茸のパスタなど、今でしか味わえない物。
考えただけでよだれが出そうです。
この秋は雨が少なかったので、さて収穫量はどのくらいなのか・・・。
春が好きだと思っていた私ですが、秋も大人びていて好感が持てます。
「女心と秋の空」というように、日中、日が差したり陰ったり、天気がコロコロと変わりますが、これも秋だから許せるところ。
静かな季節の移り変わり、楽しんでいます。
