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トスカーナ、アグリツーリズモの旅

28日土曜日の夜、イタリアは夏時間になりました。

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こちらのお天気はこの頃バラエティーに富んでいます。
冬のように寒くなったかと思うと急に太陽が出て暖かくなり、春が近いなぁ、なんて喜んでいると冷たい強風が3~4日吹き荒れて、それでも良いお天気だから、と思っていたら1週間雨の天気予報。
昨日は秋のような雨がしとしと降るグレーな日が朝から続きました。
そして今日も又雨かと思って起きると、なんと日が差しているではないですか。
イタリアの天気予報は当たらないことで有名ですが、ここまで外れると、なんだか気が抜けます。

それでも外は春景色。
アーモンドやプラムの花は強風でちょっと抜け気味ですが桜を思い出させ、平野は黄色やピンク、白、バイオレットなどの野花で一杯。
庭の片隅には去年からの球根が芽を吹いたようで水仙やチューリップの花が揺れています。
ついつい、写真を写したくなってしまいます。

そんな中、イタリア訪問今回で3回目、の男性が日本から来ていらっしゃいます。
最初は6年前、2度目は3年前、そして今年と、3年ごとに来ていらっしゃる方です。
元々絵がお好きでその方面の学校も出ていらっしゃる方ですが、家業を継ぐことになり、今はそちらのお仕事がお忙しくて、あまり絵を描く時間がないとおっしゃっています。
それでも絵がお好きなことには変わりなく、時々こうして長い休暇を取られてイタリアへ出かけていらっしゃいます。

最初は確か2週間以上フィレンツエに滞在されたと思います。
2週間ずっと教会や美術館を見て回られて、それでもまだ足りないとおっしゃっていましたが、トスカーナに来たらやはり郊外も見ておいた方がいいだろう、と思われて急に私の所へいらっしゃることになりました。
3年前もフィレンツエ滞在が長かったと覚えていますが、今回はトスカーナ郊外を中心に沢山写真を撮りたいとのご希望で、私の住んでいる近くのアグリツーリズモに1週間、世界遺産の街ピエンツア近郊のアグリツーリズモに1週間、又私の近くのアグリツーリズモに帰ってこられて5日間、そしてフィレンツエへ戻られて数日滞在されてから帰国という日程を組まれたようです。

今回、トスカーナ郊外にあるアグリツーリズモに連泊されることになり、初日は盲目のオペラ歌手アンドレア・ボチェッリが生まれた街など、近郊の小さな街をご案内しましたが、トスカーナ郊外を自分で回ってみたいのでスクーターを借りられるところはないでしょうか、と尋ねられ、ちょうど彼が宿泊されるアグリツーリズモのご主人が自動車修理工場を持っているので、ご主人に頼んでスクーターを貸りられる用に手配をしました。
更に、ピエンツアでもスクーターで回りたいと希望されたのですが、こんな天気が不安定な時期にスクーターで回っていて雨にでも降られたらどうするの、とアグリツーリズモのご主人が言うので、急遽スクーターの代わりにフィアット車のパンダを借りることになりました。
1日35ユーロですって!(安い!)

最初にパンダに乗られた彼が嬉しそうにおっしゃった言葉は「うへ~っ、こんなに小さな車に乗ったのは久しぶり~」でした。
心配だったのは、彼がこのパンダに乗って2時間半かかるピエンツアまで運転しなければいけないことでした。
勿論、初日は私とジョン・クロードが先頭を走りますが、ハンドルやギヤー、そして走る車線が日本と全く反対です。
最初は、ギヤーを左手に探されたり、ウインカーを押すつもりがワイパーを動かしてしまったりなどされた彼ですが(ごく普通なことです)、驚くほど直ぐに感覚をつかまれて、難なくピエンツアまで到着されました。

ピエンツアのアグリツーリズモは、正に農家を経営しているところで、ペッコリーノチーズ、サラミ、プロシュート、ワイン、オリーブオイル、全て手作り。
宿泊客は欲しい量だけ買えます。
また、豚やウサギ、鶏も沢山いますので、新鮮なまだ温かい卵も買えます。
ただ、彼はイタリア語が出来ない、アグリツーリズモのオーナーはイタリア語しかできない。
通訳をしていた私に、ここに一緒に滞在したらいいのに、と言ったアグリツーリズモのオーナー。
そんな二人を残して、さぁ、帰ろうとしていた私は、オーナーがイタリア語で早速彼に話しかけているのを見てしまいました。
イタリア語が話せないと分かっている相手にも、どうしてかイタリア人はぺらぺらとイタリア語で話しかけてきます。
口が勝手に動いてしまうようです。
まぁ、日本人の彼は電子辞書を持っていますので、どうにかなるでしょう。

数日後、彼から電話があり、フィアットのパンダでウンブリア州まで行きましたよ、との報告。
とても楽しんでいらっしゃるようです。
そして、今日はアグリツーリズモのオーナーから昼食に招待されているのですけど、ちょっと電子辞書にも出てこない言葉を言われて困っています、何を言いたいのでしょうか、と訊いてこられました。

言葉ではコミュニケーションが取れなくても、ボディーラングエッジといいま
すか、手と身体の動作でどうにかなるものです。彼は毎回こうして、全く知らない人と仲良くなり、卵をもらったり、ワインをもらったりして楽しんでいます。
ブラボー!

もうじき彼はピエンツアから帰ってきます。
お土産話が楽しみです。

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