秋深いこの頃
久しぶりのトスカーナ日記です。
9月中旬から10月中旬までスイス行きもあって忙しくしていたら、その間にすっかり秋が深まってしまいました。
10月初旬までのトスカーナは青空一杯で気温も高めという、それは素晴らしい秋晴れが続いていました。
雨は9月初めに少し降り、その後は晴天ですから、葡萄の収穫にもとても良いお天気でした。
それがスイスから帰ってきた途端に急変しました。
私たちがスイスへ行ったのは10月の6日から10日までだったのですが、行く日も快晴で、途中イタリアとスイスの国境であるキアッソ(スイス国、でもイタリア語圏)で1泊し、ゆっくりとスイスへ入っていきました。
以前の私たちでしたら、こういう風に遠いところへ行く場合は、朝の3時頃に起き出して、4時には出発し、午後には目的地に到着しているという行動をしていましたが、私たち自身が落ち着いてきたのか、そんなに急いでどうするの、と言う感覚にもなり、今回は我家で昼食を食べた後、ゆっくりと家を出ました。
さて、1泊してキアッソから目的地のチューリッヒに行く日が、これ又素晴らしいお天気で、後で聞いたところによると、この時期のこの暑さはスイスでは30年ぶりだったとか。
スイスをドライブしていると直ぐに高い山が近づいてきます。
アルプスも見えます。
スイスの山々は緑一色で(あまりに温かくて紅葉はまだほんの少しでした)、そこにスイス風の家や教会が建ち並び、太陽の下に輝くその風景は正に絵はがきやスイス旅行のパンフレットそのまま。
先ずはアルプスを越えなければいけませんから、超えてしまうまでは高い山が迫る景色の中を走り続けます。
そんな山の麓には小さな村が点在していますが、 私はそれを見る度に、 毎日頭の上に迫る山を見ながら生活するというのは気分的にどういうものかと思ってしまいます。
だって、山の威圧感がものすごいですから。
アルプスを越えるには二通りの道があり、一つはアルプスにどーんと穴を開けて造った、長さ15kmのゴッタルドトンネルを抜けるもの。
もう一つは、アルプスを乗り越えて行くサンベルナルディーノ峠を使うもの。
今回は、夏休みや祝日も終わっていることだし、旅行者で混雑していることはないだろうと、ゴッタルドトンネルを抜けていくことにしました。
2車線や3車線の高速道が、このゴッタルドトンネル口にさしかかると1車線になってしまう為、車の数が多い際、このトンネルは大変混雑するのです。
トンネルを抜けてドイツ語圏(チューリッヒなどドイツ語、正しくはスイスドイツ語を話す地域)に入る頃から湖が見えてきます。
緑の山の麓に綺麗な水をたたえた湖が広がり、入り江には大小の街が箱庭のようにあります。
その景色が又溜息が出そうなほど素敵。
その日は素晴らしいお天気でしたから、私たちは高速から出て、湖の畔で手作りのランチボックスを食べようと決めました。
降りていった湖の街はとっても静かで、太陽の下、そのまま昼寝がしたかったくらいです。
到着したチューリッヒも暑くて、レストランなど夜遅くなるまで外にテーブルを出し、半袖姿の客達が最後の夏日を楽しんでいました。
そしてそれが本当に最後の夏日になってしまいました。次の日からスイスらしい雨が降り始めたのです。
その雨は私たちがトスカーナへ帰ってきた数日後、雪に変わり、そしてその冷たい空気が強い風でイタリアまで押し流され、トスカーナもすっかり冬のような寒さになってしまったのです。
朝8時の気温5度、日中でも11度前後。
10月にこの気温はトスカーナらしくありません。
冬が早く来たね、とみんなそう言いながら寒そうにしていました。
私はまだ箱に入っていたタートルネックのセーターと暖かいズボンを引っ張り出し、その上に冬のコートを着て出かけたくらいです。
しかし、やはりトスカーナ。今週は雨が少し降り、その為に気温も上がってきました。
今日は、週末まで悪いお天気だという予報を裏切って、午後から太陽まで出てきました。
家の中は例の地熱発電所から送られてくる熱湯を利用したセントラルヒーティングでポカポカだし、やっぱりお天気の面ではトスカーナが一番なのです。
今月末か11月に入って直ぐに大家さんちのオリーブの実の収穫が始まります。
もう始めたところもあるようですが、一時、きりっと寒くなったのがオリーブの実にはいいようで、オイルが沢山採れるとか。
私とジョン・クロードも手伝いに出かけていきます。
オリーブの枝には実が去年と同じくらい沢山なっています。
新しいオリーブオイル、正に秋深い時期。
話は又飛びますが、ルッカでは今月末、コミックとゲームのお祭りがあります。
このお祭りは世界的に有名だそうで(漫画を読まない私は知らなくて)、ルッカの街のあちらこちらに、それは大きなテントが張り巡らされていました。
あまりに沢山のテントが建て始められているので、きっと今月末にはルッカの街がテントに隠れて見えなくなるのではと思ってしまったほど。
漫画のコスチュームを着けた人たちも沢山集まるようで、漫画好きにはたまらないお祭りのようです。
漫画、コミックと言えばこちら外国でも日本が有名ですから、日本漫画のキャラクターも沢山見られ、大賑わいすることでしょう。