Kiyomi D

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春は直ぐそこ・・

snow in Tuscany

先々週、トスカーナに40cm超の雪が積もりました。
私がインドへ行っていた1~2月の中旬までにも、トスカーナには何度も雪が降り、そして雨も多かったのよ、と大家さんの奥さんが教えてくれました。
トスカーナにしては珍しいことです。雪がちらつく日はあっても、積もることは希で、それも年に1~2回降ればいいところです。
私たちがインドに行っている間に雪が沢山降ったことを知らされて、しめしめ、これで寒い冬から逃れることが出来たと思っていたところに、この大雪です。
今回ばかりは地元の人たちも、わぁ~、綺麗、と喜んでいる場合ではなかったようです。

夜から降り始めた雪が、次の日は一日中降り続き、更に次の日までちらついたのですから、それは積もります。
外は雪、雪、雪。 屋根、糸杉、オリーブの木、庭、平野、丘など、どこもかしこも40cmの真っ白な雪が覆い被さり、家の窓から観る風景は正に雪国。

それはそれで、家の中はポカポカと暖かいし、外は真っ白で綺麗ですから、いいのですが、でも、あまりの雪で外に一歩も出られません。鶏に餌をやらないといけないのに、階段も下りられない状態。キッチン前のベランダに降り積もった雪で、ドアの側についている鎧戸が開けられないのです。
「ムーンブーツはどこに仕舞ってある?」「使わないから、家の外にある物置に入れてしまっているわよ」と、必要なときに使えない悲しさ。
鶏の餌やりだけはしないと、とジョン・クロードは普通のブーツを履いて外に出て行きましたが、膝まで埋まる深い雪に足を取られて歩きにくそうです。
喜んでいるのが大家さんちの飼い犬で、彼の身体をすっぽり包んでしまうほどの雪の中を、雪と遊んでいるかのように元気に飛び回っていました。

インドに行く前にすっかり取り忘れていた、ベランダに出していたメタルの洗濯物干し竿が雪の重みでくにゃっと曲がっているのを発見。まだ、新しかったのに・・・。
一般道路はこちらトスカーナ郊外でも直ぐに除雪車がやってきて、綺麗にしたようですが、私たちが住んでいる家の周りには車も通るほどの広さの庭がぐるっと囲んでいて、そこに40cmほどの雪がしっかり敷き積もっているものだから、敷地内にある屋根付きの駐車場に駐車していたわが家の車が出せません。
大家さん達は、雪が降り始めると自分達の車を家から出して一般道路近くに駐車します。
私たちの車のように、雪で車が出せなくなると言うことを避けるためです。
スイスのように雪用のタイヤを常備していないといけないと言うことはないトスカーナ郊外ですが、その代わりに色んな知恵を持っているのです。

私がちょうど野菜と果物の買い物に行こうかと思っていた矢先に降り出した雪で、常備品は沢山あるので食べるものには困らないものの、唯一新鮮な野菜が足らなくなりつつあり、そういう時に、どうしても買い物に行かなければいけない場合は、道路近くに駐車している大家さんちの車を使っていいよと言われていたので
すが、雪が止んで3日後、ジョン・クロードと大家さんが一緒に雪かきをしてくれました。
家の周りにある庭は、大きくはありませんが小さくもなく、そしてこの雪の量ですから、かなりの力作業だったようです。
ちょうど車が通れる幅の雪が除かれて、めでたく家から車を出すことが出来ましたが、一般道路の両側には除雪車によって除かれた硬い雪が積まれていて、まるでスイスの山の街を走っているようでした。

snow in Tuscany

snow in Tuscany

snow in Tuscany

snow in Tuscany

今、やっとその雪の跡形も見えなくなってしまいましたが、郊外を歩いていると私の物干し竿と同じように、雪の重みで糸杉やオリーブの木の枝が折れているのをあちらこちらで見かけました。かなり太い枝も折れていて、自然の力を感じてしまいます。
トスカーナはそれからもどんよりとした曇り空が続いています。
気温は少しずつ上昇気味ですが、オフィシャルに春を告げる3月21日を過ぎても、太陽が輝く、あのパーッと晴れたトスカーナ風景はまだ見られません。
何となく、冬眠から覚めきれない動物のようです。
それでも丘や草原には黄色や白、紫の野花が咲き始め、鳥もチュンチュン鳴いていますし、木々には若葉も見られるようになりましたから、まぁ、春の到来もそう遠くはないでしょう。

spring