キュートなコジモ
9月に入ったトスカーナ、急に涼しくなりました。特に朝夕は気温が下がり、油断をしていると風邪を引きそうです。
今まで来ていたノースリーブのワンピースや半袖のTシャツさえ涼しすぎて着られないくらいになり、「ひぇ~、夏はもう終わり?」と少々慌ててしまいました。
通常は9月の末まで暑く、10月に入ってからも泳げる日があるのです。
そんな中、先週の金曜日からまた気温が上昇してくれました。どうやら、ここ数日続くようです。
「それー、夏最後の太陽を楽しもう」と私とジョン・クロードはさっそく海へ行ってきました。
夏のトスカーナ日記の話題は海の事ばかりで申し訳ないのですが、夏に私が行くところというと、近場にある地中海の海しかありません。
お気に入りの海は我が家から車で1時間ほどのところにあります。到着して車を降りて海に向かって50mほど歩いて行くと、目の前にパーッと海が広がります。
蒼い海の地平線に太陽がキラキラ輝いて、何処までも続くビーチにはザザザ~~と白い波が打ち寄せてきては引いて行く。心地よいサウンドが耳に優しくて、何度見ても癒される風景です。
綺麗な海で泳ぐ事は勿論ですが、私が特に気に入っているのは、iPhoneで好きな音楽を聴きながら波打ち際をどんどん歩いて行く事です。キャーキャー騒ぐ子供の声や、ビーチサッカーで興奮している若者の声がすっかり消えて、私の耳に聞こえてくるのは好きな音楽と、そして波の音だけ。
こうやってビーチを歩いていると、まるでビーチには私一人しか歩いていないような感覚におちいります。この感覚が私は大好きです。
映画の中の一シーンのような、ああ、夢のような瞬間。
観光シーズンも終わり、学校も始まったこの時期、私たちが行った金曜日のビーチには数えるほどの人たちしかいませんでしたから、それは開放感に溢れていました。
来週も暖かい日があるのなら、またこの開放感を味わいに、海に行ってこようと思います。
そんな海三昧のある日、隣町のヴォルテッラで「ノッテ・ロッサ*赤い夜」が開催されました。赤い夜って何だろうと思ったら、音楽の夕べ、でした。
ヴォルテッラの麓でアグリツーリズモを経営する友達がいるのですが、彼等の15歳になる次男が、その夜にあるバンドメンバーに混じってサクソフォンを演奏するというので、見に、聴きに、行ってきました。
次男の名前はコジモ。お父さんはイタリア人、お母さんはオランダ人です。コジモはイタリア語は勿論、オランダ語、英語、そして少しフランス語を話します。家の中では、お父さんとはイタリア語で、お母さんとはオランダ語で話していますが、その切り替えの早い事。
2年前まで、コジモは旅客機のパイロットになりたいと思っており、PCのシュミレーションで操縦をしたりしていましたが、急にサクソフォンに興味を覚え、週末、先生について勉強を始めました。
その先生はイタリアでは優秀なサクソフォン演奏家の一人で、コジモの演奏を聴いて、「彼は才能がある」と言ってくれたそうです。
私もこの音楽の夕べで彼の演奏を聴きましたが、たった15歳で、ほんの2年前に始めたばかりの人とは思えないような演奏を彼はしていました。
コジモ自身も、サクソフォンを演奏するのが大好きなようです。本格的なサクソフォン演奏家になる為には、これから専門学校に行く必要があるとか。さぁ、どうなるのか。これからが楽しみです。
13年前、私たちがトスカーナにやって来た時にコジモの両親と知り合い、それから私たちは彼等とずっと親しくしています。
あの当時のコジモはたったの3歳。縮れ毛の可愛い男の子でした。
時には我が家にやって来て一緒に遊んだり、 両親抜きで私とジョン・クロードと一緒に海へ行った事もあります。
私たちが彼等の家に行く度にコジモはどんどん成長して行き、今では両親や18歳になるお兄ちゃんを超えて家族の中で一番背が高くなってしまいました。1m80cmはあるはずです。
でも、15歳のコジモ自身は、まだ恥ずかしがり屋の可愛い男の子。
日本に連れて行くとパーッと有名になるのではないかと思うほどのハンサムな顔で笑ってくれます。彼の人生は、これからですね~。
我が家で、左が当時5歳のお兄ちゃんロレンツォ、右が当時3歳のコジモ。マジックペンを使って何やら制作しています。
お兄ちゃんはお母さん似で直毛、コジモはお父さん似で縮れ毛。
去年、ヴォルテッラで演奏したときの写真。彼、14歳。
今年の春、ある演奏会でのコジモ
ヴォルテッラの音楽の夕べで演奏中のコジモ。バンドの他のメンバーたちは、コジモよりも年上です。
こうやって時々、いろんなバンドの人たちに呼ばれて一緒に演奏するようです。