週に一日はベジタリアン
「週に1日はベジタリアンとして過ごしましょう」と提唱したのはドイツ。確か数ヶ月前だったと思います。
1日だけは肉を食べない日にしましょうということです。
2050年になると地球上の人口が今の倍になる予想で、そうなると、全国民に肉を供給するのが難しくなるとか。
肉を沢山得る為には沢山の家畜を育てる土地が必要になり、沢山の家畜を育てるには沢山の肥料が必要です。沢山の肥料を育てるには沢山の土地と水が必要ですから、そう考えて行くと、そのうち、肉が食べられない日がやってくるかもしれません。それに備えて少しずつ肉を食べない日に慣れてもらおうと考えたのでしょう。
勿論、野菜を沢山食べて健康になろうという面も考えてのことと思います。
先週、TVで中国の肉生産方法を紹介していました。とにかく人口の多い中国です。全国民に肉を供給しようと思うと、こうならざるを得ないというドキュメンタリーでした。
巨大な部屋にぎっしりと鶏や牛が詰め込まれて飼育され、それが成長して肉として処理されるときは、なんだかおもちゃでも扱っているような方法で鶏や牛が機械に放り込まれていました。かなりショッキングなシーンです。
ああいう工場でパックされる肉だけは食べたくないなぁと、ベジタリアンで肉は食べない私ですが、思いました。
偶然なのかその数日後、私とジョン・クロードは大家さんちの次女デボラからベジタリアンの夕食に招待されました。
驚きました。デボラは次女でもあるからか勉強にしか興味のない子で、家事を一切しなかった女の子です。
イタリアでは、おばあちゃんとお母さんが家事一切を仕切り、いくら成長した子供がいても何にもさせませんから、デボラが家事をしなかったのは極普通のことなのですが。
毎日家にこもって勉強し、大学院の心理学博士号をトップで習得したデボラですが、25歳になってもボーイフレンドができなくて、それだけがデボラのパパとママの心配ごとでした。
そんなデボラがボーイフレンドを連れて来たのは1年ほど前でした。
彼の名前はエマニュエル。デボラと同じ学校の一つ下の後輩です。
イタリア男性に多いママコンと言うか、マッチョと言うか、遊び相手にはいいけれど、結婚相手には絶対に向かない、というタイプとは正反対で、自分の考えを持つ、とてもしっかりした自然派で行動派の男性です。
彼は勉強で引きこもっていたデボラを外に連れ出し、一緒に菜園を作ったり、キノコを森まで探しに行ったり、料理を作ったりして、自分で何かを作り上げる喜びをデボラに教えてくれています。
綺麗目の服装しかしなかったデボラが畑仕事用の服やゆったりした服装をするようになり、回りの者を驚かせています。
更には、少々丸みのある身体を自分でも気にしていたデボラでしたが、ボーイフレンドができてから日に日に痩せて綺麗になり、恋する乙女は綺麗になる、としっかり教えてくれました。
エマニュエルは料理も好きですが、食べる事も勿論大好きで、私とジョン・クロードがベジタリアンだと知ると、俄然ベジタリアン料理に興味を持ち始めました。
それで私はベジタリアン料理を作って、数回、彼等をおもてなししたのですが、それが気に入ってしまったのか、とうとうエマニュエルとデボラは、毎週土曜日はベジタリアンの日にする、と大家さんちで決めてしまったのだそうです。大家さんの家族全員が土曜日はベジタリアンの夕食ですって!何というレヴォリューション!
料理をするのは、もちろん、デボラと金曜日の午後にやってくるエマニュエル。
そのベジタリアン夕食に私たちも先日招待されました。
どんなものを食べさせてくれるのかと興味津々でしたが、若い二人が挑戦していろいろと手の込んだものを作ってくれていて驚きました。
何にもしなかったデボラが真剣にキッチンで料理を作っている姿が可愛くて。
素敵なボーイフレンドができて良かったなぁ~と、デボラを14歳のときから知っている私も嬉しいのです。
大家さんちのキッチンで、デボラとエマニュエル。どちらかというと、エマニュエルが指示を出し、デボラが実施?
キッチン一杯に料理が広がっていました。
サービスされたこの日の一皿。右から、クレープの夏野菜包み、マッシュポテトのオーブン焼き、揚げたモッツアレラトースト、長ネギとサフランのムース。ウ~~ン、オイシイ・・・。