蛍
今日も素晴らしいお天気のトスカーナです。
雲一つない青空が広がり、その下にはなだらかな緑の丘陵がオリーブ畑と葡萄畑と糸杉の模様をつけて静かに佇んでいます。美しい自然・・・。
キーボードを打ちながら頭を右に向けると、この景色が窓の外に広がっている我が家のオフィス。ツバメが電線の上にとまっていて、あぁ、平和です。
さてそんなトスカーナ、いよいよ蛍の時期になりました。
2週間ほど前から草花の裏側に小さな白い泡が見えていたのです。蛍の卵です。
数日前の夜、外から帰って来たジョン・クロードが、
「蛍が出てるよ!見に行こう」
と教えてくれました。
軽いジャケットを羽織って私が家から出てみると、すでに我が家の庭にフワフワと飛ぶ蛍が見えました。
それだけでも感動でしたが、更に鉄門を開いて家の前にある谷の方に歩いて行ってみると、「うわ~、出ている、出ている」
谷まで行く前の小道脇に、もう沢山の蛍がチカチカ、チカチカと光を放ちながら、ふわり、ふわりと飛んでいるのです。私たちの直ぐ間近まで飛んできます。
毎年見る蛍ですが、見る度にこの美しさには感激します。そしてその数!
真っ暗な空には沢山の星、真っ暗な地上には沢山の蛍。天地が交じり合って、私たちは星の輝く夜空の中に浮かんでいるようでした。
自然ってすごいなぁ。こんなに美しい虫まで造ってしまう。
それも数週間だけの命です。何の為に生まれて、そして死んで行くのか。
何か生まれる理由があるのかしら。いえ、理由などないのでしょう。
毎年同じ時期に生まれ、そして死んで行く。その間に、誰かに見てもらうでもなく星のように輝き、時間が来ると静かに消えて行く。
野に咲く花も同じ。時期が来ると素晴らしい色と形で自然を彩り、時期が来ると静かに枯れて行く。
私たち人間は? 生まれてくる理由があるのかしら?
いえいえ、きっと私たちにも生まれてくる理由などないでしょう。
理由もなく、そして誰にも知られずにこうして生まれ死んで行く生物と私たち。
だからこそ、私たちも野の花や蛍のように、短い人生を自分の為に精一杯輝き、生きている瞬間を謳歌しなければいけないな、そんな風に考えながら蛍の飛ぶ夜道を帰ってきた私です。
海際の町チェチナの中心地に素朴な魚介類のレストランを見つけました。
このレストランは海から少し離れた町の真ん中にあります。
以前からあるのは知っていたのですが、通る度に閉まっており、どんなレストランかしらと思っていたのです。
レストランの壁やテラスのテーブルには魚の絵が描かれているので、多分、魚が食べられるレストランだろうなとは想像していました。
先週、なんとこのレストランが開いていたのです。テラスで食事をしている人がいました。
開いているなんて珍しい、店の中を見てみようと私はレストランの前を歩いてみたのですが、そのとき、ぷ~んと揚げ油のいい匂いがしたのです。
ああ、ここは美味しそうだなと私はぴんときました。
そして数日後、いよいよ食べに行ってみると、ここはその日の採りたての魚を食べさせてくれるレストランだと分かりました。
本当に魚しかないレストランなのです。パスタもライスもなし。魚料理だけ。
でも、キッチンには揚げ油がいくつも並んでおり、一つの油で一種類の魚を揚げるようになっているようで、私がいい匂いだなと思ったのは、これが理由のようです。
素朴なレストランで料金も安い。でも、魚の美味しさは他のレストランに負けない。昔の日本の定食屋さんを思い出させるお店で、私は好きです。
「フィリットイミスト・唐揚げミックス」は通常、イカや魚や野菜などが交じって出てくる一品なのですが、このレストランでは、エビの唐揚げ一皿がいくら、アンチョビの唐揚げ一皿がいくら、というように魚1種類が一皿で出てくるのが嬉しい。
写真の右は、エビとアンチョビの唐揚げを半分ずつにしてもらった一皿。奥の丸いボールには野菜の天ぷらが入っています。
左は、レストランのテラス席。右は、外から観たテラス席
レストランの真ん前に「バーバーショップ・理髪店」が新しく出来ました。男性専用のようで、店の入り口にクルクル回る理髪店のマークがついていて懐かしくなりました。今流行の髪型は、耳の上の毛を刈り上げて頭の上の毛は後ろにかきあげるスタイルです。ちょっと分かりにくいのですが、店の前に座っている右側の男性がその髪型をしています。パパと小さな息子が同じヘヤースタイルで歩いていたりして笑えます。
わが町でクラシックカーのラリーがありました。ラリー自体は見ていないのですが、町の中心に集まっていたクラシックカーを撮影しました。