フェラゴスト（ferra’gosto）
「 フェラゴスト」をご存知ですか。これはイタリアでは一番大事な国のホリデ ーで８月１５日がその日です。この日が近づくとイタリア人のほとんどが休暇 を取り、海へ繰り出していきます。会社、お店、ガラージ、売店、ほとんどの 個人経営者が８月１５日の前後に休みを取り、店のシャッターは下ろされて、町は閑散としてしまいます。そして混雑してくるのが高速道路です。何キロに もわたる渋滞を我慢して、毎年同じ事が繰り返されます。そして毎年増える交 通事故。でもこのフェラゴストはイタリアでは大事なホリデーなのです。フェ ラゴストとは言いかえれば、「夏の祭典」とでも言いましょうか。暑い夏を祝 うのです。
そしてこの日を境にいろんな町で中世のお祭りが開かれます。
シエナでは『パリオ』という中世の格好をして行列をした後、カンポ広場で裸 馬に乗っての競技が始まります。１７区あるうちの１０区が毎年競技に参加し、抽選で選ばれた馬に乗ってどの地区が一番かを競うのです。中世のお祭りだといって馬鹿には出来ません。『パリオ』はシエナの人達にとってとても神聖で、まじめな競技なのです。勝った地区は『パリオ』という絹で作った旗のようなものをもらうのですが、若者達（女性も男性も）はもうサッカーを見ているときと同じように、真っ赤になって応援しています。そしてそれを見物に来る旅 行者の数の多いこと。カンポ広場が人でびっしりと埋まります。でもこの『パリオ』は始まりから終わりまで約５時間はかかりますので、炎天下で立ったまま見物していても大丈夫、と自身のある方だけにお勧めしたいですね。
こちらヴォルテーラでもこの中世のお祭りが毎年８月１５日のすぐ後の土曜日から始まります。こちらでは馬の競技はありませんが、ここでも可愛い中世の格好をして、旗投げなどの催しがあります。シエナでは見られない物ですばらしいのが日曜日に見られる中世の生活です。石で彫刻をしている人、パンを売っている人、毛を梳いている人、騎士、貴族、と、それぞれの生活を真似て見せてくれます。石畳の道の両側に小さいお店を出し、そこで昔ながらの生活風景を見せてくれるのです。そこで小さい子供がその時代の洋服を着ていたりすると、本当に可愛いものです。靴もちゃんとその時代の形のものを履いているのですよ。旅行者にはたまらないですね。
このほかにも回りの小さな町々ではいろんな夜の催しがあり、涼しくなった夜を皆楽しくそぞろ歩きしています。私達も毎夜どこかへ出かけていき、見て回るのに忙しいこの頃です
