ペッコリーノチーズ
トスカーナといえば羊の牛乳から作ったチーズ、ペッコリーノチーズがあります。
今日は、個人経営でペッコリーのチーズを作っている工場をご案内いたします。
ここはヴォルテ-ラから車で約10分ほどの所にあるアグリツーリズモ件、チーズと蜂蜜、オリーブオイルを作っているところで、名前は「LISCHETO・リスケット」と言います。大きく開けた柔らかい丘の続く自然の中にぽつんとあり、トスカーナの雰囲気一杯です。この辺りでペッコリーノチーズを作っているのは殆どがサルジニア島から来た人達だそうで、ここの家族もやはり40年前にサルジニア島からやって来たそうです。今は息子のジョバン二が中心で彼の奥さんとチーズ作りの男性二人、そして料理人のパオラがこの場所を運営しています。「リスケット」の特徴はここの生産物が全てオーガニックだという事です。彼は約800匹の羊を持ち、その羊達は毎日外に出て新鮮な草を食べています。夏は一日中外で過ごすそうです。毎日朝と夕2回ミルクを採り、1日1回朝にチーズ作りが始まります。
では早速チーズを作っている場所へ入っていきましょう。既に500リットル入る大きな鍋にミルクがヨーグルト状になって入っています。それをかき混ぜていくのですが、その前にジョバンニは後でする食事の後のデザート用にそのヨーグルト状のものをカップ一杯にすくっていました。さて、大きな金具でヨーグルト状のものをかき混ぜますが、これはかなりの力仕事です。機械では出来ないのか聞いて見ましたら、機械でするよりも人間の手でしたほうが美味しいチーズができるとか。見るからに絹ごし豆腐のような感じのものを細かく細かく砕いていきます。すっかり砕かれたら、それをホースを通しながらざるのようなチーズ型に入れていきます。
型からはチーズを残して、シエロと言われる水状のものが下に流れますが、このシエロに5%のミルクを混ぜたものがリコッタチーズになります。チーズ型に入ったチーズは1回ひっくり返されてそのまま24時間水気を切ります。それからペッコリーノチーズになるプロセスが始まるわけです。15度~10度と温度の違う部屋に1週間~10日づつ移動され、その途中で「猫の毛」と呼ばれるカビも生えてきます。そして最終的にペッコリーノフィレスコ、ペッコリーノの1ヶ月物、3ヶ月物、6ヶ月物、そしてオリーブオイルと灰に包まれたもの、トマトピューレに包まれたものなどのチーズが出来あがるわけです。
ちなみに500リットルのミルクから約100kgのチーズが採れるそうです。
さてチーズ作成の行程を見た後は食堂へ移り昼食です。石造りの食堂にはストーブが赤々と燃えていて温かい。
先ずはペンネにズッキーニ、トマト、ベーコンそして勿論オリーブオイルがたっぷり入ったパスタです。こくがあってとても美味しい。実は私とジョン・クロードは20数年ぶりに肉(ベーコン)を口にする事になり、この時なんとなく興奮していた二人です。その後早速そこで作られている数種類のチーズにサラミ、プロシュート、パオラ手作りのソーセージなどが、野菜のオイル付けとともに出てきました。残念な事に私は風邪を引いてしまって、丁度この頃から鼻が利かなくなってきており、頭は朦朧とする中、チーズとサラミの味を味わう状態ではなくなっておりましたが、ご一緒した女性の感想はチーズの味は大変良かったとのこと。ただ、プロシュートは生ではなく燻製ものだったので、生のものに比べて塩味が濃く、少し堅めで味も強かったようです。
ぺちゃくちゃとおしゃべりしている間に、デザートとして先ほどのヨーグルト状のものが出てきました。そこへたっぷりの蜂蜜をたらして食べます。私の朦朧とした頭に冷たいデザートが気持ち良く、そして大変美味しかったです。こんなにフィレッシュなものが食べれるのはここしかありません。。
工場見学と食事で一人20ユーロ。先ほども書きましたが、口にする食材の殆どがここの手作りでオーガニックです。
今はジョバンニの夢である癒しの家が建築中で、そこにはオリーブオイルでのマッサージや先ほどのシエロに浸かるトリートメント等のエステテイックサロンなども出来あがるそうです。楽しみです。