ピッテイ宮とボーボリ庭園
今日はフィレンツェ市内にあり、でも余り日本人旅行者には知られていないピッテイ宮の事を書きましょう。
これはアルノ川を挟んで、デゥオーモとは反対側にあり、ヴェッキオ橋を渡って両端にお店を見ながら約200mほど行くと、この建築物が目の前にどーんと見えてきます。
メデイチ家のコジモと張り合っていた銀行家ピッテイがデゥオーモのキューポラを建築したブルネッレスキーに頼んで建て始めた建物ですが、途中で破産してしまい、コジモのお妃のエレオノーラが買いとって再建築したもので、その後歴代のトスカーナ大公が住んでいました。とにかくその大きさに先ずびっくりしてしまいます。1階部分にあたる壁はなんと1m以上もある石が積み重ねられて出来ており、正面の長さが200mもあります。
建物の前は大きな広場になっており、旅行者がいつも一杯座り込んでいます。
中にはパラテイーナ美術館、近代美術館、君主の居室、他計7つに及ぶ美術館、博物館が入っており、又その大きさを誇るボーボリ庭園などもここのみどころです。
私達はパラテイーナ美術館に入ってみましたが、その大きさに又びっくり。何処まで歩いても絵や彫刻で一杯です。ここにはルネッサンスからバロックにかけての選りすぐりの作品が、その昔掛けられていたとおりに並んでおり、ウフィチ美術館のように、年代別や画家別になっていないのですが、でもそれが又プライベートなコレクションを見て回っているようで、感激します。
いろんな画家の作品が並んでいますが、特にテイツイアーノやラファエッロの作品が目につきます。テイツイアーノの描く人物画はとても美しくて素晴らしい。好きですねェ。得に「若き英国人の肖像」と言う絵は、見ていると今にも動き出しそうなほどです。真っ赤な玉座の間と女王の寝室も見た後、今度は外に出てみました。
ピッテイ宮の後ろ側にはそれは大きなボーボリ庭園があります。その広さも人並みではありません。16世紀に造られたようですが、メデイチ家の日常の娯楽や客を呼んでのパーテイ-用にと造られたようです。ここでは入り口に入る前に切符を先に買います。この庭園は丘の上に作られたもので、最初はかなり急な坂になっていますが、頑張って上がって行ってください。途中で「ネプチューンの噴水」や「イゾロットの泉」などを見ながら頂上にある「騎士の館」まで行ってみましょう。そこからの眺めは絶景です。そして、そこから左、右と庭園は延々と続いているのです。歩いているといろんな彫刻に出会います。本当の庭園です。時間があれば、ゆっくりと木陰で本などを読みたいですね。
途中で高台にあるオープンカフェで休憩です。ここからのフィレンツエの町の眺めが又素晴らしい。是非写真を撮ってきてください。ゆっくりと降りていくと、出口近くで、「ブオンタレンテイのグロッタ」に出ます。ブオンタレンテイとはグロテスクと言う意味だそうで、グロッタは洞窟。「グロテスクな洞窟」ですが、なんだか不思議な建物でした。でもこの洞窟から今アカデミア美術館に置かれているミケランジェロ作の4体の「奴隷」の彫刻が発見されたのです。その直ぐ横には亀に乗った太った男の彫刻「バッカスの噴水」もあります。
5月~10月までは夕方8時まで開いていますので、夏の時期には日差しが少し柔らかくなってから行かれたらいいかと思います。
イタリア人家族の絆がとても強い事はご存知ですか?
小さいホテルや、アグリツーリズモ、レストランなどは殆ど家族ぐるみで経営しているんですが、それだけではなく、両親と子供達の絆が大変に強いのです。例えば、子供が両親から離れて住んでいる場合、お互い毎日電話をし合うのです。それも日に3回! 「いったい何を話すの?」と普段から電話は勿論、手紙さえ日本にいる家族に出さない私は不思議に思って聞いてみました。「いやー、今何処にいるのか、何をしているのか、お昼には何を食べたか、等など・…」というのです。「うわ-ッ、そんな風に、毎日電話をするの?」と聞けば、「勿論!」という返事。恐れ入ります。
そんな風に毎日電話をもらう子供の方は大変じゃないかなあ、と思うのですが、そうでもないようです。これがイタリア家族なんですね。
うちの大家さんちのおばあちゃんは息子が1人しかいなくて、彼のお嫁さんとそして私と主人の事を自分の子供と思っているからね、と言ってくれます。
だから私達もおばあちゃんの家族の一員になるわけで、2日おばあちゃんに会わないでいると、必ず電話がかかってきます。「えっ、どうしてるの?元気でいる?いつコーヒーを飲みに来るの?」と聞いてくれます。もう何回おばあちゃんのところでコーヒーをご馳走になったか。又町の中でばったり会うと、「じゃあ、今日は私とお昼を一緒に食べる?」と聞いてきます。おばあちゃんのお料理は手早くて、とても美味しいのです。つい忙しくしている私達は、「Va bene, じゃあ、OK!」なんて感じでいそいそとおばあちゃんの家に向かいます。
私が日本を離れて直ぐに母親が亡くなっているので、おばあちゃんの存在がとても嬉しい私です。