Kiyomi D.

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秋の空

秋の天気が続いています。
太陽が出ているかと思えば、急に大きな雲が空を覆い、そして雨。
あれー、と思っていると又青空が広がる。
そうです、あの変わりやすい天気です。
8月末から9月末まで曇りや雨の天気が続き、これだったらきっと10月はいいお天気になるだろう、という皆の期待を裏切って、まだまだ変化の多い天気が続いています。
例年でしたら、9月はまだ夏のように暑いし、10月はそれは素晴らしい青空が広がるのですが、今年はどうも慣例に従わなかったようです。

autumn

先日、屋根のない教会サン・ガルガーノへ行ってきました。夏には沢山の人と車で賑わうサンガルガーノですが、今は訪れる人もまばらで、木々も紅葉し、あのちょっぴりセンチメンタルな気持ちにさせられる秋の気配を見せていました。

葡萄畑も、収穫は殆ど終わり、今は残った葉が紅葉して、色とりどりのカーペットを敷いたようで、楽しめます。
少し森の中に入ると栗の木も紅葉し、栗の実がイガイガをつけて、沢山床に落ちているのが見えます。
去年はよく採りにいって、湯がいて食べたものですが、今年はまったく行きませんでした。
少し忙しくしていた秋です。

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隣町のヴォルテーラにある教会で面白い事が起こりました。
この教会は13世紀に増築され、そして16世紀にマドンナに捧げる教会として、かなりの改築が行われました。その後18世紀に修復工事も行われ、天国を表すという天井はそれは綺麗な色を見せています。
その教会に入っていくと、まもなく壁にかかっている絵を修復している人が目に入りました。一人は修復し、もう一人はそれをビデオに撮っています。

「こういう修復士の事を映画にしたのが、あの有名な、”冷静と情熱のあいだ”、という映画なんだな」なんて思いながら、その時は通りすぎたのです。
一応ぐるっと教会の中を見て、帰ってくる時に、今度はビデオを撮っていた人も修復に取りかかっているのが見えました。
そこで私はつい彼等達に話しかけてしまいました。

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「何をしているのですか?」と訊くと、
「埃を取っているんだよ。色はまったく使っていないよ!」
という返事です。そう言いながら、少し年配の人が作業場から降りてきて、ほら、あの絵を見てご覧、なんていろいろと説明を始めてくれました。
説明が一通り終わってから、私は旅行者かと聴かれ、
「いいえ、ポマランチェに住んでいるんですよ」
と答えた途端、まだ上の作業場に座っていた、体格のいい若い男性が急に私を振り返って、
「ええ?じゃあ、僕の事を知っているでしょ?」
と期待一杯の声で聞いてきました。
私はびっくりして、ジーっと彼の顔を見ていると、ああ、思い出しました。彼は去年の夏、オランダで個展音楽を勉強している歩さんと一緒にポマランチェの教会に行った時に、一人で修復をしていた人だったのです。
歩さんは教会の事は良く知っており、彼にいろいろ質問をしてみたところ、それは親切にいろんな範囲にわたって説明をしてくれたのです。
その彼が、目の前に立っていたのです。
いやー、久しぶりー、なんて挨拶しながら、彼も作業場を降りてきて、ひとしきり教会の中でお喋りが始まりました。

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「どうも聞いたことがある声だと思ったんだ」と彼。
「まだ修復の仕事をしているんですねー」
「勿論、これが僕の仕事だからね」
横にいた年配の人も「私はもう40年以上もこの仕事をしているよ」と、話しに加わり、良かったのでしょうか、教会の中で声を潜めるわけでもなく、普通にお喋りをしてしまいました。
何でも、こうやって埃を取るだけの仕事は100年に1度やる事だそうで、私達は丁度その場面に出くわしたわけです。

別れる時に、じゃー又―、といってお別れしました。
今度はいつ会えるのでしょうか。
偶然の出会い、っていいものです。

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