Kiyomi D.

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冬海の航海

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私は今朝出かける用事があり、朝8時に起きだしバスルームの窓を開けました。
そしてビックリ。なんと雪が降っていたのです。
とうとうトスカーナにも雪がやってきました。
北イタリアでは霧、そして南イタリアのカラブリヤやシチリアでは吹雪が続いているというのに、どうしてイタリア中部のトスカーナはずーっと穏やかなお天気が続いているんだろう、と不思議に思っていたのですが、とうとうトスカーナにもその寒さがやってきました。
そのおかげで私は外出を中止し、ベッドに逆戻りです。
雪は10時ごろには完全に溶けてなくなっていましたが、冷たい風がビュンビュン吹いていて寒い、寒い。
こんな日は暖炉に火を焚いて、暖かくしているのが一番です。
といいながら、私とジョン・クロードはPCの前に張り付いていますけど。

もう日本にもニュースが入っていると思いますが、イタリアでは1月10日から屋内全面禁煙となりました。
駅、空港などは既に禁煙となっていましたが、今年から会社は勿論、レストランやバーもまったくタバコが吸えなくなりました。間違って吸っていて警備官に見つかると、吸っていた人は勿論、店のオーナーが大変な罰金を払うことになります。
1度見つかると、吸っていた人は約25ユーロ、店のオーナーは約260ユーロの罰金。
2度目から罰金はどんどん上がり、最高2000ユーロまで達します。
吸っていた時、周りに妊婦や子供がいた場合は、さらに罰金が倍になります。
今、バーに入っていくとなんと空気の良いことか。

つい2日ほど前にTVで放送していましたが、あるバーのドアのすぐ外で顧客がタバコを吸っていた所、ちょうど警備官が通りかかり、タバコの煙が店内にも入っていると注意をし、店主は400ユーロの罰金を受け取ることになったそうです。
「そんな馬鹿な・・!」と店主は怒るやらあきれるやら。
そういえば、外に出してあるバーなどのテラスでも吸ってはいけないということなんですが、このあたりがちょっと分からない所です。

アルコールを出すレストランやバーでは、完全禁煙になると顧客が少なくなるのではないかという心配もあります。
ある高級レストランでは、寒い冬に外に出てタバコを吸わなければいけない顧客のために、肩掛けを用意した所もあるようです。タバコを持ってテーブルを離れるお客の肩に、そっと柔らかい肩掛けをかけて差し上げる。なんと言うサービスでしょう。

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空気浄化装置がある店ではタバコが吸えるのですが、イタリア全国でその装置がある店は2%ほどとか。
だんだんと喫煙者の身が狭くなってくるこのごろ。タバコの値段もまた上がるようですから、今年は禁煙者がドンと増えるのではないでしょうか。
イタリアに来られる旅行者で喫煙者の方。どうぞお気をつけてください。
間違ってタバコに火をつけると、誰かが飛んでくるかもしれませんよ。

年末から年始にかけて、いろんな方との食事会が多かったのですが、この間はヨットを数隻持っているマルコという船長と知り合うことがありました。
食事に呼んでくれた、というか私に寿司を作ってくれと頼んできた、海辺に大きな家を持つスイス人のパウロがとうとうヨットを駐車(?)できる場所を港に買ったそうで、でもまだ自分でヨットが運転できないパウロはしばらくの間は船を買う代わりに、自分の船を持っていて声がかかればどこにでも出てくれるマルコを見つけたようです。
マルコは60歳を過ぎたなかなか魅力的な中年男性です。
穏やかに話をしますが、船や海のことになると話がつきません。
料理も上手なようで、この日はタコの丸煮を持ってきてくれました。
ガーリックとパセリがいっぱい入ったオリーブオイルに、そのタコは浸かっていました。

実は12月の寒いある日、パウロはジョン・クロードとそして友達のアンジェラを引き連れて既にマルコのヨットの乗り心地を試しに行っているのです。
私はそんな寒い日にヨットなんてまったく興味がなく、暖かい家でお留守番をしていました。
彼らはチェチナの港を出発し、4~5時間かかるピオンビーノの港まで航海しました。この日は青空の広がる、風も殆どない素晴らしいお天気に恵まれ、なかなかの船旅だったそうですが、風がないため帆があまり張れなかったのが少し残念だったようです。
船の上ではマルコに舵のとり方を教えてもらったり、又マルコ手作りの食事とワインの昼食をとったりして、かなり快適に過ごしたようです。

さて、食事会でも勿論この話題になり、春になったらぜひ私も一緒に船の旅を楽しんでみなければ、ということになりました。
私も勿論望む所です。ただ、酔い止め薬を飲んでからになりますが。
船酔いには弱くても海が大好きな私です。ぜひヨットで広大な海原に出て、そしてデッキで甲羅干しをしたいものです。
お腹が空けばマルコが食事を作ってくれます。
こんな贅沢な船旅、確か5年ほど前にフィジ島で味わったのが最後です。
夏まで待つ必要はなく、春になったら近くのエルバ島まで行ってみようという話になりました。
エルバ島には小さな港がいくつもあり、可愛いお店があったりしていい雰囲気なのです。
そういう港めぐりをして帰ってきてもいいね、ということになりました。

そこでです、こういう可愛い1日の船旅だったら、休暇の少ない日本人の方でも、やってみたいと思われる方がいらっしゃるのではないかと、先ずパウロが話し出しました。
う~~~む、なかなかいいアイデアです。
勿論2~3日の船の旅もいいでしょうが、年に1週間ほどしかお休みのない日本人にはちょっと取り入れにくいかもしれません。
でも1日だったら可能では・・?
先ずは春のいい気候になったら私が船旅を経験してまいります。その結果を又日記でお知らせいたしますので、海の好きな方、舟が好きな方はお楽しみにお待ちください。
ひょっとして今年の夏はどなたかをエルバ島までご案内することになるかもしれません。
毎年、ガイドの様子が少しづつ違っていて、これが面白い所です。

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さあ、じっと座っていると寒くなりました。
暖炉の前に行き、温かいコーヒーでも飲みながらゆっくりすることにしましょう。

最後にもうひとつだけ、数日前になぜか心に残るニュースを見ましたので、ご紹介させていただきます。

「米マクドナルドは16日、同社の前社長兼最高経営責任者(CEO)のチャーリー・ベル氏が、故郷のオーストラリア・シドニーで結腸直腸がんのため死去したと発表した。44歳だった。ベル氏は同社にアルバイトで入り、昨年4月に経営トップに上りつめた。CEO就任の翌月にがんが見つかり、療養のため、昨年11月に退任していた。

ベル氏は15歳の時、シドニー店でアルバイトを始め、19歳でオーストラリア最年少の店長になった。20代で欧州の出店事業を担当し、29歳で取締役に就任した。その後も駆け足の昇進を続け、04年4月に当時のカンタルポ会長兼CEOが急死したのに伴い、43歳の若さでCEOに就任、アルバイト出身のCEOとして話題を呼んだ。
 同社のマッケンナ会長は「チャーリーは、入院中や化学療法を行っている最中でも、誇りと決断力を持って会社を率いてくれた」と死を悼んだ。 」

アルバイトで始めて急速にトップの座を手にしたベル氏。
完全燃焼してしまったのでしょうか。
それにしても、44歳で亡くなるなんて。早い死です。
もう少しトップの座を楽しませてもらえなかったのかなあ、と残念で・・。

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