ドルドーニュ
先日、ジョン・クロードがドルドーニュ北部に住むお客さんに会いに行くことになり、日帰りはちょっときついので、私も一緒に数日滞在してドルドーニュを観光しようかと提案してきました。
「実は僕たち、20数年前にドルドーニュには行っているんだよね」とジョン・クロード。
聞けば、1989年、私たちがスイスに住んでいるとき、初めて買った中古の赤いポジョ車でフランスを回ったときに行ったそうです。
「ほら、途中でシャトーに泊まって」と言われて、あっ、と私は思い出しました。
スイスとフランスの国境にあるジュラ山脈を抜けて、フランス南部をドライブしたのでした。
可愛い小さな村を通り抜け、出会ったブロンジェリーでクロワッサンを買い、原始人が住んでいたという絶壁に作られた旧石器時代の住居跡を見て、クロマニヨン人が何千年も前に洞窟(ラスコー洞窟)に残した絵(動物や手形) を見て回った後、シャトーに宿泊したのでした。
指折り数えてみると、27年ぶりになります。うわー、時の流れの早いこと!
どうせなら3泊4日はしたい、そして、27年前に宿泊した同じシャトーに宿泊できたらいいね、となり、早速ネットで調べてみました。
幸いにジョン・クロードがシャトーの名前を覚えていたので、すぐにネットで探し出しました。
あ~あ、そうそう、このシャトーで、このお部屋だった、とサイトに出てきた写真を見て懐かしい・・。ただ、 Hotelの名称からChambres D’Hotesに変わっていて、電話をして聞いてみると、数年前にシャトーが売りに出され、今のオーナーが買い取ったのは5年前。全改装をして、ホテルではなく、D’HotesとGite(ジト)、日本語では貸別荘またはペンションというようですが、としてオープンしたのが1年前だそうです。
「でも、サイトに載っているお部屋の写真は、現在のものですか?」
と訊いてみると、「もちろん写真のままですよ、1年前にオープンしましたから全て新しいですよ」と言われて、早速3泊の予約を入れました。
カルカッソンヌからドルドーニュまで車で約3時間。
3分の1ほど走ったところで高速を出て、後はひたすらドルドーニュの郊外や森の中を走ります。緑が多くて気持ちのいいこと。
ここはフォアグラやトリュフが有名で、道路の脇に看板がたくさん出ています。野原に、あひるが群れをなして餌を食べていました。クルミの木もたくさん植わっています。クルミのガトーも有名なのです。
さらに奥に進むと、昔、訪問した洞窟や石器時代の住居跡がある岩壁などが見えてきて、パーッとあの時のことを思い出しました。
途中、途中で、小さな可愛い村をたくさん通り過ぎていきます。
今回、初めて知ったのですが、私たちが通り過ぎた小さな村たちは、フランスの最も美しい村、と言われているところなのです。
27年前の私たちは、ガイドブックなど見ることもせずにやってきましたので、どこが観光地なのか知りもしないで見て歩いていましたが、今回、改めてこの可愛い村たちを見て回りました。
サルラ(Sarlat)、ベイナック(Beynac)、スイヤック(Souilac)、モンティニャック(Montignac)、ラ・ロック・ガジャック(La Roque Gageac)、ラスコー(Lascaux)、レゼジー(Les Eyzies)などなど。
ドルドーニュには、xxxxac(xxxxアック)と名前の末尾がアックで終わる村が多くて、車から見ていると面白いです。Vitrac、Vezac、Thonac, など。
最も美しい村々は、やはりフランス中世の雰囲気が濃くて、おとぎ話の本に描かれている絵のような建物がとてもキュートです。その中でもサルラの街が一番大きくて、観光客も多く、レストランがずらっと並んでいました。少々観光地っぽくなりすぎた感はありますが、でも、建物は可愛くて写真になります。
今回、私がもう一度行きたかったのはラ・ロック・ガジャックです。
断崖にへばりついたように並ぶ小さな村で、その前にドルドーニュ川が流れています。その川から船に乗って断崖と小さな街並みを見ることができるのです。
行ってきました。9月も中旬なのにたくさんの観光客(多くが熟年者)がいました。でも、学校が休暇に入る7月と8月はその3倍くらいの観光客が訪れますよ、とあるお店の人が言っていましたので、訪れてみたいと思っている方は、できるなら、7月と8月を外して行かれることをお勧めします。
私たちが行った日は曇りのち晴れのお天気で、少しずつ太陽が出てきて、船からのラ・ロック・ガジャックの眺めは最高でした。
ドルドーニュには、素晴らしい庭園もあちらこちらに散らばっているようなので、次回は是非、庭園散策をしてみたいと思います。
さて、宿泊したシャトー。郊外の道からさらに森の中の道を進んでいったところにあります。映画の中に出てくるような鬱蒼とした森の先にシャトーを見つけた時は、懐かしくて思わず声を上げてしまいました。
27年前、私たちがどのようにしてこのシャトーを見つけて宿泊したのか、私もジョン・クロードも全く覚えていません。多分、ドルドーニュの郊外を走っている途中、宿泊できるシャトーがあると知って、興味半分にやってきたのでしょう。いい思い出です。
このシャトー、昔はロレ&シャトーの系列だったのが売りに出され、それを買ったのがお金持ちのロシア人で、さらに売りに出されたものを買ったのがいまのオーナーだそうです。
シャトーの外見もお部屋も昔のままですが、昔と違うところはレストランがないこと。朝食を食べる食堂はありますが、27年前、私とジョン・クロードがムスカ(アペルティフ)の入ったメロンを食べながら、とっても楽しく食事をしたレストランは、残念ながらもうありません。
ホテルからD’Hotesになり 、そしてお城の前にはGite(キッチン付きのホリデーハウス)も建っていて、ホテルのようなサービスはなくなりました。
その代わり、オーナーやそのマダムとおしゃべりをしたり、美味しいレストランを教えてもらったりと親密に接することができて、ホテル以上に暖かいおもてなしを受けました。
シャトーでは結婚式やセミナーもできるようで、その時には食事も作ってくれるそうです。
私たちが宿泊したシャトーChâteau de Puy Robert (シャトー・ド・ピュイ・ロベール)の裏側
http://www.puyrobert.fr/chambres-hotes-dordogne.php
それぞれのお部屋が違った壁紙で飾られています。窓の外は緑、緑の大きな敷地。プールもあります。
ネットでは、ベッドメイキングやタオルの交換はしないと書かれていたのですが、外出して帰ってくるとちゃんとされていてびくりしました。
シャトーの表玄関にある庭。
日が沈みかかって、影がきれい。
シャトーにはレストランがないと知っていたので、この日の夕食に私たちはカルカソンヌから寿司を持参しました。お部屋で食べ物を食べるのは 禁止なので、庭で食事。ロゼワインはシャトーで購入。
暗くなってきて、シャトーに電気が灯ります。ちなみにこちらが表玄関。
サルラの村。
大きなショーウインドーに山盛りの塩バターのキャラメルを発見。好きなのに買わなかった・・・。
ドルドーニュの郊外を走っていると、こういう家や小さなシャトーがたくさん見られます。
郊外の中にポツンと立つシャトー。立派です。
ちょっと休憩で、ベジタリアンのテイクアウト。庭にテーブルもあり、ここで食べることができます。
わたし、こういう紙の箱に入ったテイクアウトの食事は初めてでした。
この船に乗って、ラ・ロック・ガジャックの村をドルドーニュ川から眺めます。その昔、この船と全く同じ形の船で、資材や食物を別の街に運んでいたそうです。今の船にはエンジンがつき、荷物の代わりに観光客が乗っているのが昔と違うところ。
船の切符を買うと、日本語も聞けるオーディオを貸してくれます。ただし、自分のイヤホンを用意したほうがいいかもしれません。
ラ・ロック・ガジャックの村。崖の左上のところが黄色っぽい色になっていますが、これは1957年に崖崩れが起こって、下にある20数軒の家を飲み込んだ跡です。幸いなことに被害者は少数でしたが、最も美しい村だったのに、これで美しい村とは呼ばれなくなる、と当時の村長さんが悲しんだそうですが、今は完全に復活しています。このドルドーニュ川、たまに氾濫するようで、水の高さが4mにもなるとか。家々の前に立っている壁を越えてしまうので、住居者は日本でいう2階から上に住んでいるそうです。
この話は、船に乗っているフランス人のガイドさんが教えてくれました。日本語のアウディオでは教えてくれません。
Château de Castelnaud、いろんな貴族の手に渡りましたが、今は個人の所有です。すご~い!!訪問することができます。
ラ・ロック・ガジャックの村
ラ・ロック・ガジャックの村を後ろにしたドルドーニュ川。写真のように借りカヌーで川を渡ることもできますので、次回は是非チャレンジしたいと思います。
ドルドーニュ川の名前の由来は、二つの村の名前を取ったと言われていたらしいのですが、本当は、ポルトガル語だったかな、ちょっと確かではありませんが、とにかく、流れが早い、という意味らしいです。実際、川の流れが早い!それから、ドルドーニュ川の水は、フランの中で一番綺麗だそうです。
シャトーのオーナーに教えていただいたトーナックという小さな村にあるレストラン。最初のスープは鍋ごと出てくるし、最後のチーズはこうして大盛りで、食べ放題。5種類ほどあるデザートもすべて手作り。前菜やメインディシュも大変美味しくて、お客さんがどんどん入って来るお店でした。
今日も素敵な一日をお過ごしください。