ソクラテスの3つのふるい
ある日、一人の弟子がソクラテスに会いに来ました。
「聞いてください、ソクラテス様。あなたの友達の一人があなたのことを悪く言っていることをお知らせします。」
「ああ、そうですか。ただ、それを言う前に、その話が3つのふるいにかけられたかどうか教えてください」
「3つのふるい?」と弟子は驚いて聞いた。
「その通り、私の友よ。3つのふるいです。私に伝える前に3つのふるいにかけられたかどうか、見てみようではないか。最初のふるいは、その話が真実なのかどうかだ。私に話す前に、その話が本当にあったことなのか確かめましたか?」
「いや、私はただ聞いただけで・・・。」
「わかった。でも、2つ目のふるいはどうだろう?2つ目のふるいは、その話が良い話なのかどうかだ。真実かどうか分からないにしても、その話が良い話なのかどうか、2つ目のふるいにかけましたか?」
「いや~、あまりよい話ではないですが・・・」、と男はためらいがちに答えた。
「ふん、ふん、じゃぁ、3つ目のふるいを確かめてみよう。あなたが私に伝えようとしている話は、なにか役に立つことだろうか?」
「いや~、別に・・・。」
「わかった。ソクラテスはにこやかに言った。その話が、真実でなく、良い話でもなく、役に立つことでもないなら、私は聞く必要がないだろう。
そしてあなたには、この話は忘れるようアドバイスします。」
上の文章は、先日、モンターニャ・ヌアー(黒い山)にある行きつけの小さな軽食店に行った時に、額に入ってお店の隅の方に飾られていたものです。何か教えられました。
カルカソンヌを流れるミディ運河は世界遺産に登録されており、フランスではモン・サン・ミッシェルに次いで2番目に観光客の数が多いことで知られていますが、今回、このミディ運河が、パリのエッフェル塔と並んで「土木工学の国際歴史的な仕事(フランス語の直訳です。ご了解を)」に選ばれました。
アメリカから技術者たちが視察に訪れましたが、17世紀にこれほどの技術を用いて作られたことに圧倒的な感銘を受けた、とのコメントを出しています。
私も、ミディ運河に関していろんな本を読んだりミュージアムを回ったりしましたが、その度に、この時代によくこんなアイデアが湧いてきたものだ、大きな機械もなかった時代に、人々の力だけでよくもこんなに大きな事業を成し遂げたものだ、と驚き、感心させられたものです。
なので、今回ミディ運河が「土木工学の国際歴史的な仕事」に選ばれたことが、身内のことのように嬉しい私です。
3日前から私はフランス南西部にあるドルドーニュに来ています。
ジョン・クロードの仕事の関係でこの近辺に来ることになったのですが、実は、私たち、27年前にも同じ場所へ来ているのです。
そのお話は、次のカルカソンヌ便りでお話します。
9月に入ったのに34度から36度の気温が続いていた南フランスですが、今日、やっと待望の雨が降り、気温が20度以下に下がりました。
観光には晴天が一番ですが、気温が35度前後になると、歩き回るのに疲れてしまいます。
今日は雨で自然は潤い、人々の心も潤ったようです。
明日はまた良いお天気で、気温は23度前後になるようです。
明日は私たちの帰宅日ですが、午前中はあるところに行って船で可愛い町を見る予定です。
次回のカルカソンヌ便りでご紹介します。
皆さま、素敵な毎日をお過ごしください。