運河の貯水池とボジョレー・ヌーヴォー
約７０年ぶりという１１月１４日のスーパームーン。ネットでも大いに話題になっていましたが、私もこちらカルカソンヌで見ることができました。
普通の月よりも約１４％大きく見えるということでしたが、その大きさは、月が昇ってくる時、月の周りに建物や木々がある時によーくわかります。
私は、ちょうど夕方に差し掛かった頃に、広い葡萄畑が広がる郊外を走っていたのですが、ひょっと目を上げた向こう側に大きな月が見えて、「やっぱり大きいわぁ！」と声を上げてしまいました。
暗くなって月が高く夜空に出てしまうと、もうその大きさはあまり分からないのですよね。でも、キラキラ輝いて、綺麗な月でした。
カルカソンヌから車で４０分ほどのところにある「黒い山」と呼ばれる山には、ミディ運河の水を貯めておく貯水池（St. Ferreol-サン・フェレオル）があります。船が通りやすいように運河の水を調整するためのものですが、作られたのは１６６６年、３５０年前です。その時期、大きなショベルカーなどなく、地元の男性はもちろん女性も一緒になって、シャベルで土を掘ってはザルに入れ、それを頭の上に乗せて運んだという、まさに手作りの貯水池なのです。
貯水池は水を貯めておくだけではなく、地下にトンネルを作り、水を山や川から引き入れ、それを計画的に運河に流すように管理されています。
そのシステムがスムーズに行われているかどうか、トンネルにヒビでも入っていないかどうかをチェックする作業（整備）が、１０年毎に行われます。そして、少々１０年を越してしまったのですが、今年の１１月がその整備をする月になりました。
整備をするには貯水池の水を完全に抜くと聞いた私たちは、１１月の２週目、湖と呼ばれている貯水池を見に行ってきました。
行ってびっくり。いつもは、なみなみと水をたたえて、夏には小さなビーチで海水浴客達が泳いだり水遊びをしたりして楽しむ湖が、見事に水が抜かれて、ただのだだっ広い平野になり変わっていました。
あれだけの水をどこに流したのか・・・？たくさんいたはずの魚たちはどうしたのかしら・・・？
湖の四方八方に浮かんでいた鴨たちは、水がなくなってしまい、ほんの少しだけ残っている水たまりに群れになって浮かんでいます。
喜んでいるのは見物に来た人たちです。いつもは歩けない湖の底やトンネルの近くを自由に歩けるのですから、こんなチャンスを逃すはずはありません。たくさんの人たちがやって来て、月の面のような湖底を歩き回っていました。
そして、自分の足で歩くとよくわかりますが、貯水池の雄大さ。こんなに大きな貯水池を、人々の手だけでコツコツと作り上げたということに本当に驚いてしまいます。そして、この３５０年になる貯水池を今でも使っているということに更に驚かされるのです。
食品や資材を運ぶ運河のために貯水池を作って自分たちの生活を潤そう、と考えた昔の人々のエネルギーが感じられます。
話は変わって、ボジョレー・ヌーヴォーです。
日本でも毎年ボジョレー・ヌーヴォー解禁日を待ちわびている人たちがいるようですが、こちらフランスでも、お店に出て来るとわっと売れてしまうほどボジョレーは人気があります。
今年は我が家でもボジョレー・ヌーヴォーを買いました。
ジョン・クロードは昔からボジョレーが好きだったようですが、イタリアのトスカーナに住み始めると、やはりワインはイタリアワインがメインになり、トスカーナで試しに買ってみたボジョレー・ヌーヴォーが美味しくなかったこともあり、しばらくは我が家でボジョレーを見ることはありませんでした。
でも今、フランスに住み始めて、フランスの食べ物を口にし始めると、やはりワインはフランス産が合います。
ということで、ひさしぶりにボジョレー・ヌーヴォーを買ってみました。
ジョン・クロードが言うには、ボジョレーはフェミニンワインだそうです。買ったワインはアルコール度１２・５度で軽めです。
一口飲んで、「うん、美味しい！」とジョン・クロードは懐かしそうに言っていました。私も飲んでみると、口当たりが良くて、ヌーヴォーにしては香りも深いし、アルコールには弱い私ですが、美味しいと思いました。
やはり、住んでいるその土地のものを食べたり飲んだりすると、体が喜ぶようです。
貯水池St. Ferreol。地元の人たちは湖と呼んでいます。
整備のために水を抜いた貯水池。柱のようなものが立っている地下にトンネルがあります。 水が残っているのはここだけで、たくさんのカモが浮かんでいます。
貯水池とは想像しがたい風景。
私も貯水池の中を歩いてみました。貝殻がたくさんあって、淡水でも貝が生息することを初めて知りました。
ボジョレー・ヌーヴォー、Beaujolais-Villages。Villagesと書かれている方が品質が良いそうです。
カンカン娘のラベルが面白い。
今日も楽しい1日をお過ごしください