日本に行きたかった
毎日スマートフォンのアプリで日本語を勉強しているジョン・クロードが、昨日の日曜日の朝、「行きたい」の過去形は日本語でなんというの?と訊いて来ました。
「行きたかった」と私が教えると、彼は何度も口の中でリピート。
その日の夕食時、いつも明るい彼が、なんとなく沈んで見えます。
「元気?」と尋ねると、
「日本に行きたかった・・」と日本語で答えて、グッと来た私。
「日本語で言われると、胸に刺さるよ」と言うと、「そうだよね」と彼は涙目になっている。それを見た私も涙がこみ上げる。
いつもポシティブシンキングの彼は、今回の日本行きがキャンセルになった時も、大丈夫、コロナ騒ぎが静まった5月か、そうでなければこの夏には日本に行けるから、しばらくの辛抱だよ、と落ち込む私を元気付けてくれたのですが、思えば去年の9月から日本行きの航空券を購入し、あれやこれやと3月末の日本行きを目指して準備して来た私たち。彼の仕事の登録もこの日に向けてキャンセルし、アパートの大家さんにも伝え、電気、水道、ガス、電話、インターネット接続など全てを解約して、いざ出発という10日前にフライトがキャンセルになり、同時に、出発前に宿泊する予定だったホテルからもキャンセルが入り、私たちはかなり落ち込みました。
実は、出発2週間前に「お客様の出発が近づきました。お荷物をご用意ください。私たちは畿内を清潔に居心地良くご用意してお待ちしております」というメールがエアーフランスから届いていたので、私たちはすっかり出発する気持ちでいたのです。
二人ともヒステリックにもならず、泣くこともなかったのですが、本当だったら2日後に日本へ出発したのに、と出発日が近づくに連れ、胸の内に寂しさが広がっていました。
1・2ヶ月の旅行がキャンセルになったのではなく、人生でこれが最後の移動だねと決めた日本移住がコロナ感染騒ぎで止められて、ショックでないはずがありません。それを「しょうがないねー」と普通にしていた私たちは、彼の「日本に行きたかった」という日本語で、そうだよね〜、そうなんだよね〜、とお互いの寂しさを確認しあい、慰め合いました。
でも、ちょっと泣いたおかげで、二人とも気持ちが落ち着きました。一緒にいるだけで幸せ。あとは、コロナに感染することなく、元気にいつの日か日本に行けることを願います。
みなさま、常に手洗い、そして人混みに入らないようにご注意ください。自分のため、そして日本国民のため、加えて、私とジョン・クロードの為に、お願いします。
東京と同じ日に、カルカソンヌにも雪が降りました。ほんの少しだけ・・・。