手話
写真は我がアパート前のけやき通り。朝の6時少し前です。涼しいうちにウオーキングしようと出たところ、人も車も少なくて気持ちのいいこと。道の両側にバス停があります。
先日、このバス停で楽しい事があったのです。市内に出ようとバス停に近づいたら(10時ごろだったかな?)、私たちよりも少し年上らしい男性と女性がすでにバスを待っていました。小柄なお二人でしたが、特に女性の方が近寄ってきた私たちの方をチラチラと見るのです。私もジョン・クロードも外に出たらマスクはしないので、きっと「この二人はマスクをしないでバスに乗ってくるのかも」と心配したのかもしれません。
そう思った私は、ズボンのポケットに入れていたマスクを取り出して、「バスが来たらこれをつけますからご心配なく」と言う気持ちで彼女にマスクをヒラヒラさせて見せました。
そうしたら彼女が男性に「なんて言ってるのかな?」と手話で会話をし始めて、 あっ、このお二人は聴覚に障害をお持ちの方なのだと初めて知りました。
手話を全く知らない私はこれ以上この女性と会話ができません。しょうがないのでジョン・クロードと話をしていると、女性が「私たちはあなたたちが話していることは全く理解できない」とジェスチャーで伝えてきました。それで私も身振り手振りで「私たちもあなたたちが話していることは理解できません」と伝えると、男女ともワッハッハと声はないけど笑ってくれて、何と私たちの間で会話が成り立ったのです。
それから女性が親指と小指を出して、それをくっつけるようにして「あなたたちはご夫婦?」と言っているようなジェスチャーをしたので、私は「はい」と首を縦に振る。
次に女性がお腹を妊娠した時のように大きく膨らんでいるように描いて、次に赤ちゃんをあやしているような動作をして、「子供いるの?」と訊ねてきました。手話を知らない私は多分そう訊ねているのだと理解し、「いえいえ」と手を振って答える。その後、「私とジョン・クロードは約40年近く一緒にいます」と言うことを伝えたかったのだけど、その方法がわからない。それで私は指を4本立て、次に両手をパーにして、口で「40」と言いながら私とジョン・クロードを指差すと、女性の方はまた「わからん・・・?」と言う表情をして男性を見るも、男性の方が理解してくれて、女性に「40年一緒にいるらしい」と伝えてくれている。
私はゴムが長く伸びるようなジェスチャーをして「長い人生」と伝えると、男性も同じようにゴムが伸びるジェスチャーをして「うん、うん、長い人生だよね」と理解してくれて、お互いに笑い合う。
手話を知らなくてもこんなに会話が成り立つなんて、なんて愉快なことでしょう。
その後バスがやってきたので乗り込んだのですが、お二人の目的地について降りる時、彼は私たちに手をいっぱい振ってくれて、横の女性にも「ほら、彼らに手を振ってお別れして」と伝えてくれて、降りてからもバスが出発するまでお二人はずっと私たちに手を振ってくれました。もちろん、私たちもお二人にたくさん手を振りました。なんて素敵な出会いでしょう!
けやき通りのバス停を利用し始めて約2年近く。バス停でどなたかとご挨拶をしたり、会話をしたことは今まで一度もありません。なのに、聴覚障害者の方と手話が全くできない私の間で会話があったのです。夢のよう!
あまりの嬉しさに私は一日中ワクワクしていました。
この日は帰宅してから早速、簡単な手話をYouTubeで習いました。挨拶に加えて数字の伝え方も覚えました。
また、バス停であのお二人にお会いしないかなぁ、と夢見ている私です。